11月17日午後、今季限りでの種牡馬引退が決まったシルバーチャーム(牡20歳)が、生まれ故郷のアメリカへ帰国するため、新ひだか町静内の日本軽種馬協会静内種馬場輸出検疫施設で出国検疫に入った。今後はアメリカケンタッキー州にある引退馬繋養施設のオールドフレンズファームで余生を過ごす。

　シルバーチャームは父シルバーバック、母ボニーズポーカー、母の父ポーカーというアメリカ産馬。競走成績は24戦12勝で、3歳時にはケンタッキーダービー(G1)、プリークネスS(G1)を制して1997年の全米3歳牡馬チャンピオンに輝いたほか、1998年のドバイワールドC(G1)など重賞11勝を挙げた。2007年にはその功績が認められ、アメリカ競馬の殿堂入りを果たしている。

　2000年にアメリカのスリーチムニーズファームで種牡馬入り。日本には2004年にJRA日本中央競馬会が購入した後、日本軽種馬協会に寄贈され、2005年から静内種馬場で繋養されていた。その後、青森県の七戸種馬場、白老町の胆振種馬場で繋養。胆振種馬場が輸出検疫施設に業務変更した2013年からは再び静内種馬場で種牡馬生活を送っていた。

　来年21歳と高齢になることなどを案じて種牡馬を引退し、功労馬とすることを決定。通常の功労馬は日本軽種馬協会静内種馬場で余生を過ごすが、シルバーチャームに関しては、種牡馬引退の際にはスリーチムニーズファームへ返還する契約となっていたため、母国へ戻すことになった。

　中西信吾場長は｢空輸ができる元気なうちにアメリカへ返してあげようということもあり、種牡馬引退が決まりました。普段からおとなしく素直な馬で、スタッフからはその毛色から“シロ”という愛称で呼ばれて、皆から可愛がられていました。アメリカからも毎年スリーチムニーズファームの関係者が来日して様子を見に来るほど愛されていました。本当は手元において最後まで面倒を見てあげたかったのですが、前オーナーとの契約ですので仕方ありません。アメリカでもシルバーチャームを待っているファンがたくさんいると思います。これからも元気でいてほしいですね｣と別れを惜しんでいた。

　シルバーチャームは検疫期間を終える11月26日に輸出検疫施設を出発。27日に成田国際空港からアメリカへ向けて出国する。