北海道市場でクラシックコンサートが開催される
9月20日夜、新ひだか町静内にある日本軽種馬協会北海道市場の競り場において、チェコ国立室内管弦楽団新ひだか町公演「ベートーヴェンの夕べ」と題したクラシックコンサートが開催された。
このコンサートは同公演実行委員会の主催で、新ひだか町と新ひだか町教育委員会が共催し、日高軽種馬農業協同組合、北海道日高振興局、北海道教育庁日高教育局、新ひだか観光協会などが後援。国際的な指揮者として知られる武藤英明さんの指揮により、チェコ国立室内管弦楽団「パルドゥビツェ」と世界的ヴァイオリニストの渡辺玲子さんが演奏した。
会場となった北海道市場は昭和60年に完成。以来、セレクションセール、サマーセール、オータムセールといった北海道市場や繁殖馬セールなど、競走馬の競り市が開かれ、幾多の名馬を送り出している。
施設を管理する日高軽種馬農業協同組合によると、軽種馬関係以外ではこれまでに職員の結婚式やプロレス会場となったことはあったが、クラシックコンサートを開催するのは初めてのこと。新ひだか町のサポート大使を務める武藤さんが競り場を気に入り、4年前にも国内オーケストラのコンサートを企画したが、口蹄疫の発生により断念した経緯があり、武藤さんにとっても待ちに待った開催となった。
当日は午後5時30分の開場とともに多くの町民やクラシック愛好家がつめかけ、551席ある座席はすぐに満席となった。主催者は急いで追加の椅子を用意する盛況ぶりで600名以上が会場を埋め尽くした。
楽団は普段は競りに掛けられる馬が立つステージで演奏。「HOKKAIDO HORSE SALE」の文字をバックに、「エグモント」序曲(作品84)、ヴァイオリン協奏曲 ニ長調作品61、交響曲第7番 イ長調作品92を奏でた。
町内から見に来た団体職員は「クラシックには詳しくありませんが、目の前で聴く生演奏に感動しました。機会があればまた来たいです」。普段は競走馬のせりで訪れている牧場関係者は「いつもと違う空間で不思議な感じがしましたが、音も綺麗で楽しかったです」と感想を口にしていた。
日高軽種馬農業協同組合では、「競り場に隣接する多目的ホールも、障がい者乗馬大会や引退馬ホースサミット、クラブ法人の展示会などで施設を貸しています。初めてのクラシックコンサートも好評でした。これからも馬以外のことでも施設を利用していただき、地域の活性化になればうれしいです」と話していた。