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北海優駿はヤマノミラクルが差し切る

  • 2014年06月09日
  • 優勝したヤマノミラクル(11番)
    優勝したヤマノミラクル(11番)
  • カンパニー産駒2頭目の重賞馬となった
    カンパニー産駒2頭目の重賞馬となった
  • 448kgで出走した
    448kgで出走した
  • 喜びの口取り
    喜びの口取り
  • 優勝馬関係者の皆さん
    優勝馬関係者の皆さん

 ダービーweekとなった6月最初の週、門別競馬場では3日にSTV杯第42回北海優駿(H1)[エイシンフラッシュ賞]が行われた。

 距離ダート2000mに12頭が参戦。1番人気は昨今、人気・実績とも急上昇中のハーツクライ産駒フレイムハーツで、前哨戦・ローズキングダム賞では敗れたが、状態面の上積みを見込まれて中心視された。そのレースで1・2着のヤマノミラクル、ダテオトコも当然票を集め、JRA転入から戻ってきたスタンドアウト、好調・五十嵐冬樹騎手が操るワイルドサプライズも予想紙に重い印が並んだ。ダービーデーとあり、門別競馬場には遠方から来たと思しきファンの姿も、普段より多く見受けられた。

 ほぼ一斉のスタートからレースは始まり、ホームストレッチは牝馬のハーブティーが先頭で通過。1コーナーでハピネスチャンスが交わして逃げるかたちとなり、ハーブティー、スタンドアウトと続き、ワイルドサプライズ、ダテオトコ、フレイムハーツが好位を追走。前の集団を見ながらヤマノミラクルが中団で脚をためる。3コーナーにかけて馬群はかたまり、全馬7、8馬身の差におさまって勝負所へ。逃げるハピネスチャンスにハーブティー、ワイルドサプライズが馬体を併せ、後続も差を詰めて直線に向く。ハーブティーが一旦抜け出すが、すぐさまワイルドサプライズが追いつき、外からヤマノミラクルがジワジワと伸びる。残り100mの地点で勝負はワイルドサプライズ、ヤマノミラクルの2頭に絞られ、両馬渾身の決め手比べ。内外でやや馬体を離しながら、ほぼ同時にゴールを切った。1着はアタマ差でヤマノミラクルに軍配が上がり、ワイルドサプライズは惜しくも2着に敗れた。3着には先行して粘ったスタンドアウトが入った。勝ち時計は2分13秒2(良馬場)。

 ベテランの井上俊彦騎手は、レース後の勝利騎手インタビューに答え、「すごいプレッシャーでしたが、久々のダービー制覇で嬉しかったです。4コーナーではヒヤっとしましたが、馬が頑張ってくれました。自分自身も一頭一頭大事に乗り、ケガのないように騎乗していきます。」と、笑顔を見せた。同レース制覇は1989年タキノニシキ、1996年クローリバーに続く3度目。管理する松本隆宏調教師は、騎手時代の1991年リバーストンキング、1999年モミジイレブンで制して以来で、騎手・調教師両方でダービーを射止めた。

 ヤマノミラクルは父カンパニー、母ケイアイリード、母の父フォーティナイナーという血統の牡馬。生産者の石郷岡雅樹さん(新冠町万世)は自宅でレースを観戦していたそうで、「種付け・出産などで忙しく、テレビ中継で応援していました。最後は接戦で写真判定となりましたが、優勝できて嬉しいです。家族で万歳をして喜びました。短距離を使っていた2歳時から、中長距離を意識したレース運びを試みていたので、今回はその努力が実りましたね。オーナーと厩舎の作戦が効きました。脚元の内向が敬遠されて、サマーセールとオータムセールで売れなかった馬ですが、1歳の頃から走る予感はありました。父カンパニーの丈夫さも伝わりましたね。今後の走りも楽しみにしています。」と、感想を語ってくれた。