エトワール賞は格上挑戦グランヴァンが逃げ切り
門別競馬場では5月15日、約1カ月後に行われる北海道スプリントカップ(Jpn3)に向けての前哨戦、HBC杯エトワール賞(H3)[モンテロッソ賞]が行われた。距離はダート1200m。
今年のメンバーは3歳~9歳の13頭で、ホッカイドウ競馬所属でトップクラスのスピード馬が顔を合わせた。1番人気はアスカクリチャンの半弟・ウルトラカイザーで、佐賀の重賞2勝に加え、JRA・南関東でも好走歴がある。2番人気アウヤンテプイは昨年の道営スプリント(H2)覇者で、ここ6戦全て連対中という堅実派。JBCスプリント(Jpn1)勝ちを引っさげてのサマーウインドはここが転入初戦で、上位人気3頭は休み明けながら、魅力の実績が人気を押し上げた。対照的にすでに今季始動した3歳馬2頭、北斗盃(H3)1・2着馬ラブミーブルーとクリノエリザベスは果敢に古馬との戦いへ。ともに伸び盛りの重賞馬で、軽い斤量を生かした一発にも期待は集まった。
レースは発走前にアクシデント発生。クリノエリザベスがゲートから突進してしまい、競走除外で12頭による争いとなった。グランヴァンがハナを奪い、シルクミライが2番手、先行集団にアウヤンテプイ、ウルトラカイザー、ラブミーブルーらがかたまり、サマーウインドが勢いをつけて進出していく。隊列はややバラけて3、4コーナーに入ると、快調に飛ばすグランヴァンを尻目に、2番手以下のグループが仕掛け始める。直線は残り200mのハロン棒を前にグランヴァンが先頭をキープし、岩橋勇二騎手の左ムチに応えて踏ん張り続ける。追撃にかかったリバーキンタロー、アウヤンテプイが内外から差を詰めたが、なかなか交わせず、ついにグランヴァンが先頭を守り、見事勝利を収めた。2着にはアウヤンテプイが入り、リバーキンタローが3着。人気のウルトラカイザーは9着、サマーウインドは10着に敗れた。勝ち時計は1分13秒1(良馬場)。前走C4クラスの特別を勝ったばかりのグランヴァンが、3連勝で重賞の壁を打ち破った。
レース後、人馬を迎えた厩務員さんとガッチリと握手した岩橋騎手は、白い歯をこぼして引き上げてきた。表彰式のインタビューでは、「うまくいきましたね。レース前はイレ込みがキツかったので、落ち着かせることを考えていました。道中は自分の競馬を心がけて、馬のリズムで走らせました。強いメンバーが相手でしたし、最後まで必死で追いました。」と、感想を語った。昨年は門別・他地区含めて重賞3勝をマークし、今年も幸先良く大仕事を成し遂げた。管理する恵多谷豊調教師は2010年、ラスワロフスキーのリリーカップ(H3)以来の重賞制覇となった。
グランヴァンは浦河町にある日進牧場のオーナーブリーディングホース。同牧場の谷川利昭さんは、「優勝できて嬉しいです。前走、同じ日のAクラスと同じ勝ち時計だったので、重賞でもやれるのではと思っていました。ただ、今回は格上挑戦で、グレードレースを勝った馬が相手でしたから、驚きましたね。牧場から移動して1カ月ぐらいで競馬を使って、また馬が変わってきましたし、岩橋騎手も好騎乗だったと思います。これで北海道スプリントカップ(Jpn3)出走のチャンスがめぐってきたので、次回は現地まで応援に行きたいですね。」と、喜びを語っていた。