浦河で「第20回装蹄競技大会」が行われる
3月26日、浦河町西舎の日本中央競馬会日高育成総合施設軽種馬装蹄所において、「第20回装蹄競技大会」が行われた。
この大会は北海道日高装蹄師会(武田英二会長:会員83名)の主催。北海道日高振興局、浦河町、JRA日高育成牧場、軽種馬育成調教センター日高事業所などが後援している。10月に栃木県宇都宮市の日本装削蹄協会・装蹄教育センターで開催される「第67回全国装蹄競技大会」の予選を兼ねたもので、上位5名が出場権利を得られる。
20回という節目の大会を迎えた今年は、21歳から37歳までの認定装蹄師8名が参加。開会式では大会長を務めた武田英二会長が「会員や後援機関、後援団体、協賛企業など、皆様のご協力で20回を迎えることができました。回を重ねるごとに参加選手も増え、大会も盛り上がるようになりました。本当に感謝申し上げます。選手の皆さんは全国大会に向けて悔いのないよう頑張ってください」と挨拶した。
競技は、①1本の鉄の棒(3分6鉄桿)を用い、前後各1個の蹄鉄を制限時間25分以内でつくる「単独造鉄(新標準蹄鉄07タイプ)」、②判断用馬1頭の歩様や蹄の状態などを見て装蹄方針などを制限時間25分以内で判断用紙に記入する「装蹄判断」、③競技用馬の装蹄用の造鉄前後各1個を制限時間20分以内で作製して、制限時間45分以内に競技用馬の前後各1肢の装蹄を施す「装蹄」の3種目。日本装削蹄協会・装蹄教育センターの渡辺吉男センター長が競技審査委員長を、JRA日高育成牧場の下村英次専門役、日本軽種馬協会静内種馬場・軽種馬生産技術総合研修センターの田中弘祐調査役ら4名が競技審査委員を務めた。
競技は午前8時30分にスタート。「単独造鉄」、「装蹄判断」、「装蹄」の順番で行われ、8名の選手は培った技術を余すところなく発揮しようと懸命に競技に取り組んだ。
厳正な審査の結果、「装蹄判断」、「装蹄」の2種目で1位となった浦河町の大東正史さんが優勝。見事、第17回大会から前人未到の4連覇を達成した。
褒章授与式では武田英二大会長が優勝した大東さんに賞状、記念品、優勝カップを授与。日本装削蹄協会、日高振興局、浦河町、JRA日高育成牧場、軽種馬育成調教センター日高事業所、日高軽種馬農業協同組合、日本中央競馬装蹄師会からも賞状、記念品、メダルなどが贈呈された。
渡辺吉男競技審査委員長は各審査委員からの指摘点などを加えて講評。「装蹄大会では自ら造鉄して装蹄することこそが装蹄の基本であることを念頭に、どのような装蹄にも対応できるように心がけ、今後も日々の技術の研鑽を重ねてほしい」とアドバイスした。
また、来賓の山根博範浦河町副町長は「装蹄の仕事は競走馬の将来に関わる大変な仕事。育成調教技術の発達で皆様への要望が強くなっていくと思いますが、今日の成果を生かして研鑽を積んでほしい」と挨拶。JRA日高育成牧場の山野辺啓場長は「上位5名の選手には全国大会を優勝して北海道に2度目の優勝旗を持ち帰ってほしいと願っています。生産地の装蹄では、当歳から繁殖、競走馬と幅広い知識が求められます。皆様にはこれまで以上に技術の普及や指導などを通じて、生産地のフットケアを推進してほしいと思います」と激励した。
4連覇の大東さんは「若手が伸びてきているなかでプレッシャーはありましたが、全体的には落ち着いて楽しみながら取り組むことができました。毎年言っていますが、今年こそは良い成績を残して全国大会でも優勝したいと思います」と意欲を見せていた。
結果は下記の通り(敬称略)。
総合
優勝:浦河町・大東正史(37歳)
準優勝:安平町・森野健太(30歳)
3位:千歳市・茂貴紀(25歳)
4位:新冠町・倉持達矢(26歳)
5位:安平町・白瀬琢也(21歳)
部門賞
単独造鉄(新標準蹄鉄07タイプ):茂貴紀
装蹄判断:大東正史
装蹄:大東正史