馬産地ニュース

BTCで「馬の疾病」講習会が行われる

  • 2014年03月04日
  • 軽種馬育成調教センター(BTC)軽種馬診療所で開かれた「馬の疾病」講習会
    軽種馬育成調教センター(BTC)軽種馬診療所で開かれた「馬の疾病」講習会
  • 「ノドつまり」について講演した日高修平氏
    「ノドつまり」について講演した日高修平氏
  • 「シンカン」をテーマに講演した安藤邦英氏
    「シンカン」をテーマに講演した安藤邦英氏

 2月27日夜、浦河町西舎の軽種馬育成調教センター(以下BTC)軽種馬診療所2階会議室において、「馬の疾病」講習会が開催された。

 この講習会はBTCとBTC利用者振興会の共催。講習会ではBTC勤務の日高修平氏による「ノドつまりの治療・管理について~本当は怖いノドつまり~」と、同じくBTC勤務の安藤邦英氏による「育成馬でよく起こる運動器疾患~シンカンって何?~」の2つをテーマに講演が行われた。

 講習会には普段BTC調教場を使用して、強い馬づくりに励んでいる近隣の育成牧場から約50人が出席。主催者を代表してBTC利用者振興会の谷川彰久会長は「お仕事を終えられてお疲れのところ多数の方に集まっていただきありがとうございます。ここ何年かBTCにお願いして開いていた講習会ですが、今年からBTC利用者振興会との共催という形で行うことになりました。本日のテーマであるシンカンは、レントゲン検査などでよく耳にするのですが、若い方をはじめ、いまいちよくわからないというところがありますので、メカニズムとか対処法を学びたいとおもいます。また、ノドつまりはそれほど聞かないとは思いますが、こういう機会に理解することで発症したときの対処が早くなるとおもいます。今日の講習会を通してBTC利用牧場の管理技術向上を目指していければ幸いです」と挨拶した。

 ノドつまりとは食道閉塞のこと。食塊や異物により食道が閉塞する疾患で、消化器疾患のうち競走馬では2.2%の発症率があり、育成馬では食道近位部から頚部中央で多く見られる。海外での報告によると死亡率は11%から20%と意外に高く、トレーニング直後の摂食や鎮静剤投与後の摂食により発症しやすいという。

 日高氏は治療法や症例を具体的に紹介。ノドつまりを見つけたら「すぐに獣医に連絡して、可能ならば内視鏡検査を実施し、発症馬の給餌には細心の注意を払う」とし、治療中に発熱したらすぐに獣医に相談するよう訴え、再発を繰り返すと治療期間が延びるだけでなく、「最悪の場合、死に至ることもある」と警告した。

 通称シンカン、正式には深管骨瘤と呼ばれる疾患について講演した安藤氏は、シンカンが発生する部位、症状を説明。続いてシンカンの原因となる繋靭帯近位付着部炎、管骨の不完全骨折、近位繋靭帯炎、管骨の疲労性障害について解説し、シンカンは症状が表面化しづらいため診断麻酔で原因を特定することをすすめた。