義経神社で初午祭が行われる
2月4日、平取町の義経神社(三上智彦宮司)において、人馬の健康と安全を祈願する初午祭が行われた。
初午祭は御祭神の源義経が騎馬武者で馬を大事にしていた故事と、義経神社が日高地方の馬産地にあるということから、毎年最初の午の日に行っている馬産地の恒例行事。昭和48年頃から斎行されているという。
12年に一度の午年となる今年は、軽種馬生産者、馬主、河原太一JRA札幌競馬場場長、山野辺啓JRA日高育成牧場場長、ホッカイドウ競馬関係者、川上満平取町町長、仲山浩平取町農業共同組合代表理事組合長らが参列。この日のために組まれたJR札幌駅発着のバスツアー客も含め、約230人が境内に集まった。
祈願者一行は2頭の神馬を先頭に参道を練り歩いた後、神殿で祭儀を行い、人馬安全、無病息災を祈願した。神馬の1頭は平成16年のアメリカジョッキークラブカップ(G2)を制したダンツジャッジが務めた。
邪気を払う「矢刺しの神事」では、70歳の古希を迎えた義経神社責任総代の平村尚人さんが行事者を務め、馬上から今年の鬼門である「子(ね)方」、北へ向かって破魔矢を3本放ち悪鬼を降伏した。
放たれた矢を手にした人は、今年1年幸運が訪れるという言い伝えがあることから、集まった人たちは「われ先に」と矢を取り合った。
1本目の矢を手にした日高町門別豊郷で牧場を営む石原牧場の石原美奈子さんは、「取れたらいいなと思っていたら、目の前に矢が飛んできました。びっくりしました。」と信じられない様子。2番矢を掴み取った岩手競馬場の桜田浩樹調教師は「父の代から毎年参加してます。この矢を拾うために岩手から来た甲斐がありました。競馬場で働いているので、この幸運が成績につながってくれたらと思います」。最後の矢をがっちりとつかんだホッカイドウ競馬の田中淳司調教師は「厩舎スタッフ皆で参加しました。狙ってましたので素直にうれしいです。人馬とも無事に一年過ごせればいいですね」。3人とも念願だった矢を手にし、笑顔を見せていた。
大役を果たした平村尚人さんは「1本目は皆様方が無病息災で穏やかな年でありますようにと、2本目はアベノミクス効果が隅々まで行き渡るようにと、3本目は日高地方で5,000頭と生まれてくる子馬の成長と活躍を祈念して撃ちました」と矢への想いを語り、「大変な大役でしたが無事に終わりホッとしました。」と最後は晴れやかな表情で振り返っていた。