静内軽種馬生産振興会の講習講話会が開催される
12月10日夜、新ひだか町静内の静内エクリプスホテル(旧静内ウエリントンホテル)2階エクリプスホールにおいて、静内軽種馬生産振興会(西村和夫会長)が主催する講習講話会が開催された。
講習講話会は会員の技術及び教養の向上のため毎年実施している。今年はJRA日高育成牧場業務課の頃末憲治氏による「草食動物である馬を考える」、ノーザンファームの津田朋紀氏による「母子の絆を尊重したサラブレッドの分娩管理」の2つのテーマで講演が行われた。
主催者を代表して西村和夫会長は「頃末先生と津田先生におかれましては、私たちの講演の依頼をお引き受けくださり感謝申し上げます。今年も残りわずかとなりましたが、私たち生産者にとって来月には出産の準備、または早いところでは実際に出産があり、配合もあります。そんななかでもう一度基本に戻って馬という動物の本質を再確認したいということと、お産は何年経験しても緊張するものなので、先生方の話を聞いて来年に向けての体制を整えたいと思っています。今日の講演が皆様にとって有意義な時間になればと祈願いたします」とあいさつ。当日は悪天候にもかかわらず、日高・胆振から約200名の牧場関係者が出席した。
平成7年にJRAに入会後、栗東トレーニングセンター、函館競馬場、馬事部防疫課、美浦トレーニングセンター、日高育成牧場、アイルランド研修を経て、現在は日高育成牧場でJRA育成馬を担当している頃末氏は、草食動物としての馬について言及。せりに向けてのメリット、デメリット、ライトコントロールの手法、分娩後初回発情での交配、子馬を帯同させない種付けから、子馬の容貌の変化、走るための効率的なフォームなど多岐に渡る分野について解説した。
津田氏は大阪府立大学卒業後、社台ホースクリニック、オーストラリア、ニュージーランドでの牧場研修を経て、現在はノーザンファームに勤務。平成23年には国内外で2000頭以上のお産に立ち会ったデータを基にした「サラブレッド新生仔管理におけるAPGARスコアを用いた健康状態評価の有用性の検討」を学会で発表し、日本獣医師会獣医学術学会賞を受賞している。
講演で津田氏は出産直後の新生児の健康状態を表す指数、および判定方法であるAPGARスコアについて説明。ノーザンファームにおけるAPGARスコア導入前後での新生児特定集中治療室搬入率、新生仔死亡率、育子拒否発生率のデータを示し、APGARスコアの有用性を訴えた。