馬産地ニュース

胆振地区生産育成技術講座2013が開催される

  • 2013年11月20日
  • 160名の生産育成牧場関係者が出席した胆振地区生産育成技術講座2013
    160名の生産育成牧場関係者が出席した胆振地区生産育成技術講座2013
  • 講師を務めた冨成雅尚JRA日高育成牧場専門役
    講師を務めた冨成雅尚JRA日高育成牧場専門役
  • 主催者を代表して挨拶する吉田俊介青年部長
    主催者を代表して挨拶する吉田俊介青年部長

 11月18日夜、苫小牧市のグランドホテルニュー王子2階「若草の間」において、胆振地区生産育成技術講座2013が開催された。

 この講習会は胆振軽種馬農業協同組合(高橋秀昌代表理事組合長)と胆振軽種馬農業協同組合青年部(吉田俊介部長)の共催。今年は講師に冨成雅尚JRA日高育成牧場専門役を招き、「アイルランドにおける繁殖牝馬と若馬の管理」という演題で講演が行われた。

 講習会には胆振地区の生産育成牧場関係者のほか、日高町や平取町、新冠町、浦河町などの牧場関係者を含め約160名が出席。席を埋め尽くした出席者を前に、主催者を代表して吉田俊介青年部長は「本日は大変多くの方にご出席いただき感謝申し上げます。講師の冨成先生におかれましては、業務ご多忙のなか苫小牧まで足を運んでいただきありがとうございます。今回の開催に当たり、青年部からは競馬先進国における人材育成について話してほしいとリクエストしました。加えて子馬の感染症についても話していただけることになりました。それぞれの牧場に持ち帰り、日々の仕事に役立ててほしいと思います。本日は実りある講演会になることを祈念しています」と挨拶した。

 講師の冨成氏は北海道函館の出身。函館競馬場の隣にある保育園に通い、幼少の頃から馬の匂いをかいで育ったという。平成9年に岐阜大学農学部を卒業するとJRAに入会。栗東・美浦トレーニングセンター、競馬学校、本部防疫課、日高育成牧場、本部馬事部生産育成対策室勤務を経て、平成23年から2年間アイルランドで研修生活を経験した。今年2月に帰国してからは再び日高育成牧場で勤務。現在はJRA育成馬やJRAホームブレッドの生産・初期中期育成に従事している。

 講演では「アイルランドで学ぶ馬づくり」、「初乳で防ぐ子馬の感染症」、「新たな駆虫法」の3つについて演述。スライドを駆使してわかりやすく説明した。

 アイルランドで研修を積んだ冨成氏は、自身の研修内容やアイルランドの生産事情、競馬先進国の人材養成カリキュラムについて紹介。海外で学ぶメリットとして「日本との生産育成方法の違いや長い歴史で培われてきた馬の取り扱いがわかり、世界的な視野、様々な環境への順応性が身に付く」と強調した。

 子馬の感染症については感染症の症例や感染防御のメカニズム、移行免疫不全症の予防法、初乳の採取方法や保存法などをレクチャー。新たな寄生虫対策としては的を絞った駆虫剤の投与となるターゲット・ワーミングという方法を解説した。

 講演後は出席者から複数の質問が寄せられる一方で、冨成氏から出席者に対してコメントを求める場面もあり、活発な意見交換が行われた。