馬産地ニュース

「強い馬づくりのための生産育成技術講座2013」が行われる

  • 2013年11月12日
  • 軽種馬生産育成関係者やホッカイドウ競馬の調教師が出席したポラリスドーム
    軽種馬生産育成関係者やホッカイドウ競馬の調教師が出席したポラリスドーム
  • 主催者を代表して挨拶するJRA日高育成牧場の山野辺啓場長
    主催者を代表して挨拶するJRA日高育成牧場の山野辺啓場長
  • アイルランドの生産技術を紹介する冨成雅尚氏
    アイルランドの生産技術を紹介する冨成雅尚氏
  • コズミのメカニズムを解明する佐藤文夫氏
    コズミのメカニズムを解明する佐藤文夫氏
  • ミオスタチン遺伝子について説明する竹部直矢氏
    ミオスタチン遺伝子について説明する竹部直矢氏

 11月8日夜、日高町門別富川の門別競馬場内ポラリスドームにおいて、「強い馬づくりのための生産育成技術講座2013」が行われた。

 この講座は日高軽種馬生産振興会青年部連合会、JRA日高育成牧場、北海道軽種馬振興公社の共催で、日高軽種馬農業協同組合が後援。競走馬の資質向上や生産育成関係者への情報・技術普及を目的に、平成12年から門別地区と浦河地区の2カ所で開催しており、今年で14回目を迎える。

 講演内容は「競馬先進国アイルランドの生産技術から学ぶこと」(講師:JRA日高育成牧場業務課冨成雅尚氏)、「育成馬のコズミ予防に朗報!-アスタキサンチンの有用性-」(講師:JRA日高育成牧場生産育成研究室佐藤文夫氏)、「遺伝子診断時代の到来!サラブレッド距離適性の推定」(講師:JRA日高育成牧場業務課竹部直矢氏)の3つ。司会進行はJRA日高育成牧場生産育成研究室の南保泰雄氏、門別軽種馬生産振興会青年部の白井岳部長が務めた。

 この日は日高や胆振の軽種馬生産育成関係者だけでなくホッカイドウ競馬関係者など約300人が出席。主催者を代表してJRA日高育成牧場の山野辺啓場長は「いままで開催していた門別総合町民センターが改装中のため、今年はホッカイドウ競馬関係者のご好意によりポラリスドームを使用することになりました。スクリーン(JBCビジョン)が大きいので、遠くからでも見やすいと思います。3つの講演のうち2つは育成の後期から競馬に関するもの、1つは近年話題になっている遺伝子によって距離適性がある程度わかるというものです。ぜひ、参考にしていただければと思います。」と挨拶した。

 今年の1月までアイルランドで2年間研修生活を送っていた冨成氏は、春季繁殖移行期について説明。馬には年間繁殖リズムが存在し、サラブレッドの交配は繁殖移行期に行い、春季繁殖移行期では交配・受胎が困難になると論じ、アイルランドでのライトコントロール方法やホルモン療法などを紹介した。

 佐藤氏は、コズミの元凶となるのは活性酸素で、コズミを打ち消すには抗酸化物質が有効とし、マウスやサラブレッドによる試験の結果、アスタキサンチンは運動による筋肉の損傷を予防しコンディションを整える効果があると訴えた。

 最後に登壇した竹部氏は距離適性に関わる遺伝子、ミオスタチンについて言及。各馬の距離適性を知ることで「効率的な調教、レース選びができるのでは」と提案した。

 なお、浦河地区での「強い馬づくりのための生産育成技術講座2013」は11月22日、浦河町の期間集落センター堺町会館で18時30分から20時30分まで開催される。