馬産地ニュース

北海道2歳優駿は地元ハッピースプリントが横綱相撲

  • 2013年11月12日
  • 1番人気に応えたハッピースプリント
    1番人気に応えたハッピースプリント
  • ホームストレッチの各馬
    ホームストレッチの各馬
  • 518kgの雄大な馬体が特徴
    518kgの雄大な馬体が特徴
  • オーナーブリーダー・辻牧場の皆さんも入っての口取り
    オーナーブリーダー・辻牧場の皆さんも入っての口取り
  • 優勝馬関係者の皆さん
    優勝馬関係者の皆さん

 11月7日、門別競馬場では2歳馬によるJRA交流重賞、第40回北海道2歳優駿(Jpn3)が行われた。距離はダート1800m。

 今年のメンバーはJRAから4頭、地元ホッカイドウ競馬から8頭の12頭。1番人気は前走、前哨戦のサンライズC(H3)を制したハッピースプリントで、夏のJRA函館遠征では敗れたものの、地元戦負けなしの実績を引っさげて中心視された。センスの良い走りでデビュー戦を快勝したスマートダイバー、500万特別で好走歴のあるアースコネクター、OP馬を半兄に持つ素質馬パッシングブリーズといったJRA所属馬が2・3・4番人気を占め、それぞれの鞍上にはG1騎手がまたがった。また、地元勢では鎌倉記念(S3)の覇者ニシノデンジャラス、目下3連勝中のスタンドアウト、ブリーダーズGJC(H1)を射止めたポップレーベルらが穴人気を集め、ホッカイドウ競馬2歳戦の頂点に位置づく一戦にふさわしい、層の厚いメンバーが揃った。出走馬の関係者はどの陣営も多数観戦に訪れていた。

 時折激しい雨に見舞われる不安定な天候のもと、ファンファーレが鳴った。スタートは一斉で、内枠を利してアースコネクターがハナを切り、スタンドアウトとサーモピレーが番手から。ニシノデンジャラス、スマートダイバーは好位につけ、パッシングブリーズ、ハッピースプリントは中団に構える。先頭から最後方まで8、9馬身の圏内で進み、徐々に馬群は固まる。3コーナーをまわって外目からハッピースプリントが満を持して先団に押し上げ、4コーナーでは逃げるアースコネクターに並びかけて直線へ。最後はその2頭の争いとなり、3番手以下を引き離していく。横山典弘騎手の叱咤激励に応えて粘るアースコネクター、宮崎光行騎手の渾身の手綱から弾けるハッピースプリント。激しい叩き合いはハッピースプリントに軍配が上がり、2馬身のリードをとってゴールを決めた。2着にはそのままアースコネクターが入り、3着は人気薄エイシンホクトセイが食い込んだ。勝ち時計は1分52秒5(重馬場)。

 優勝馬の手綱をとった宮崎騎手は、1994年のスイートイブン、2010年のカネマサコンコルドに続いての同レースVとなった。表彰式では、「馬の力を信用してレースに挑みました。今回は良いスタートが切れて、思うような位置取りをとれました。能力の高さで勝てましたね。パワーのあるところがこの馬の長所だと思います。先々はまだ良くなっていくでしょう。これからも応援宜しくお願いします。」と、安堵の表情でインタビューに応えていた。管理する田中淳司調教師は2007年の開業以来、初のJRA交流重賞制覇となった。

 ハッピースプリントは父アッミラーレ、母マーゴーン、母の父デイジュールという血統の牡馬。生産は浦河町の辻牧場で、当日は牧場の方も大勢、応援に駆けつけていた。同牧場の辻芳明さんは、「最後の直線は声が出ましたね。前走は出遅れながら勝ちましたし、函館遠征でも自身の上がり時計は早かったので、JRA馬相手でも好勝負になると踏んでいました。母マーゴーンはもともと期待していた繁殖牝馬で、トップクラスの種牡馬を交配していました。思うような結果を出せずにいましたが、ようやく大物が出ましたね。スタッフも“これまでの兄姉とは、ちょっと違う”と、言っていました。これからも無事に競走生活を送って欲しいと思います。」と、喜びを語っていた。10月のエーデルワイス賞(Jpn3)に続き、浦河産馬が門別の2歳交流重賞を飾る結果となった。