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道営スプリントはアウヤンテプイが制す

  • 2013年10月07日
  • 1番人気に応えて快勝したアウヤンテプイ
    1番人気に応えて快勝したアウヤンテプイ
  • 母譲りの芦毛の馬体
    母譲りの芦毛の馬体
  • 490kgでの出走となった
    490kgでの出走となった
  • 喜びの口取り
    喜びの口取り
  • 優勝馬関係者の皆さん
    優勝馬関係者の皆さん

   地方競馬の祭典“JBC”まで約1か月と迫った10月3日、門別競馬場ではJBCスプリント(Jpn1)指定競走の重賞、第8回道営スプリント(H2)[サウスヴィグラス賞]が行われた。

   出走馬は3歳~9歳の11頭。本命視されたのは笠松、金沢、名古屋の重賞ウイナーで、今年の北海道スプリントカップ(Jpn3)で地方馬最先着を決めたアウヤンテプイで、ホッカイドウ競馬移籍後は交流重賞以外オール連対中と、まだ底を見せていない魅力が買われた。1番人気こそ譲ったものの、アウヤンテプイを前走で負かしたグランドラッチが2番人気で、こちらはホッカイドウ競馬移籍後好成績を収めている松井伸也騎手とのコンビ。今年、地元クラシック戦線に駒を進めたファキナウェイが3番人気に続き、大井から遠征してきたクリスタルボーイが4番人気に推された。

   レースは初の門別戦ながらクリスタルボーイがハナを主張し、ナモンミライが併走するかたちで2番手追走。前2頭を見るように人気どころのアウヤンテプイ、ファキナウェイが続き、グランドラッチは中団からレースを進める。4コーナーに入ると吉原寛人騎手の左ムチを受けてクリスタルボーイが再び突き放しにかかり、後ろから4、5頭が射程圏に入って直線へ。横に広がっての叩き合いはアウヤンテプイが横綱相撲をとるかのごとく圧倒。残り200mのところでクリスタルボーイを抜き去るとグイグイ引き離し、後続の追撃をあっさりと封じた。混戦の2着争いは外からダイナミックなフォームで伸びたグランドラッチが入り、唯一の3歳馬ファキナウェイがエリモサプライズとの競り合いを凌いで3着を奪った。1・2・3番人気による堅い決着で、3連単の配当は1,240円。勝ち時計は1分13秒3(やや重)。

   優勝した井上俊彦騎手は恒例の表彰式インタビューで、「近走、悔しい結果が続いていましたからね。勝ちたいと思っていたレースだったので、本当に嬉しいです。道中は予想通りの展開で、最後は焦らずにじっくり交わしていきました。ゴール前の地点では勝利を確信しました。」と、安堵の表情で振り返った。井上騎手自身、今季の重賞Vは牝馬ショウリダバンザイとのコンビで制したコスモバルク記念(H2)以来、2勝目となった。

   アウヤンテプイは父ムーンバラッド、母バトルグレイシー、母の父ミシルという血統の牡4歳馬。ライブリマウント、キョウトシチー、ユウキビバーチェといった活躍馬の故郷として知られる新冠町・若林牧場の生産馬で、同牧場が馬主も兼ねている。母は現役時代中央2勝の実績があり、短距離戦を得意としていた。父は2003年のドバイワールドカップ(G1)勝ち馬で、種牡馬としては同馬をはじめ、今年の中京記念(G3)と関屋記念(G3)で入着を果たしたワイズリーを送り出している。