ステイヤーズカップはビービーコモンが古馬撃破
9月19日、ホッカイドウ競馬の重賞の中で最も距離の長いH1戦、第57回ステイヤーズカップ(H1)[キンシャサノキセキ賞]が行われた。ホッカイドウ競馬のクライマックス・道営記念(H1)に向けて、古馬中長距離重賞はこのレースと瑞穂賞(H2)を残すのみ。2013年のホッカイドウ競馬王者を目指す地元強豪馬が顔を揃えた。
馬場を1周半以上駆けるダート2600m戦に出走馬11頭がエントリー。このレースの主役と目されていたシルクメビウスが当日出走を取り消し(左前肢ハ行のため)、最終的には10頭立ての競馬となった。大本命馬不在で出走馬中半数以上が単勝1ケタ台~10倍台にひしめく中、同距離の王冠賞(H2)を快勝した3歳馬ビービーコモンが1番人気となり、同距離の大井記念(S2)2着馬ビービーガザリアスが2番人気。この2頭はともに母イシノエディーナの仔で、堂山芳則厩舎所属馬。兄弟馬券が売れる中でのファンファーレとなった。
レースはモエレビクトリーがハナを奪い、エイシンナナツボシが2番手。ビービーガザリアスが3番手につけ、ビービーコモンは馬群の真ん中を追走した。先頭からしんがりまでは13、4馬身の圏内で、キャリア豊富な古馬が大半を占めるレースとあって、折り合いを欠く馬もなく、淡々と1周目スタンド前を通過した。2周目向正面に入ると徐々にピッチが上がり、最後方のモルフェサイレンス以外の9頭は差を縮めて勝負所へ。3コーナーをまわると先頭はビービーガザリアス、ビービーコモンの兄弟馬2頭が争い、馬主・坂東牧場の勝負服が並んで直線に入った。残るスタミナをフルに使っての叩き合いは弟ビービーコモンに軍配。マラソンレースながらラストは脚色鋭く突き放し、6馬身差をつけて圧勝のゴールを決めた。弟に屈したもののビービーガザリアスは2着に粘り通し、重賞では珍しい兄弟馬・同馬主・同厩舎によるワン・ツーフィニッシュとなった。2年ぶりの重賞挑戦となったコスモアジルが3着まで差を詰め、一昨年の覇者サムライジャパンは7着に敗れた。勝ち時計は2分50秒3(良馬場)。終わってみれば1・2・4番人気による決着で、3連単は3,130円と比較的堅い配当となった。
優勝した小国博行騎手は表彰式のインタビューに答え、「ほぼ完璧の内容でした。コントロールが利き、乗りやすいタイプですから、長い距離の適性が高いのでしょう。追い出しての反応も良かったです。古馬相手で勝つことができましたし、今後はマークされる立場になりますが、頑張っていきます。」と、感想を語った。小国博行騎手と管理する堂山芳則調教師は、2008年にカオリノーブルで制した以来の同レースVとなった。
本馬の生産は日高町の高山博さん。門別競馬場に応援に駆けつけていた高山さんは、「優勝できて嬉しいです。兄弟で人気していましたし、2頭を目で追いながら応援していました。今後もケガをしないように走ってきて欲しいと思います。」と、安堵の表情で喜びを語っていた。所有する坂東牧場は1・2着を占め、口取りでは大勢の関係者が笑顔で立っていた。
9月17日、18日、19日は同レースを含め重賞が2つ組まれ、3連休に挟まれるかたちとなる日程も後押しし、3日間合わせて1,600人以上が門別競馬場に来場。JBC駐車場には全国各地のナンバーが並んだ。場内には遠方から来たと思しきファンの姿が目立ち、大きなカメラを持って写真撮影を楽しむファンも、交流重賞デー並みに多かった。来週の9月25日、26日の開催日にはイベントが組まれており、門別競馬場ではグランシャリオナイター5周年記念「秋の収穫祭」、全道のAibaでは「全道Aiba祭」が行われる。