ホッカイドウ競馬の競走能力・発走調教検査で13歳馬が合格
9月16日、ホッカイドウ競馬の競走能力・発走調教検査が、台風18号接近の影響による大雨のなか門別競馬場で行われ、13歳の未出走馬が見事合格を果たした。
13歳にして競走馬へのパスポートを手にしたのは、マーチャンダイズと名づけられたセン馬。父ホワイトマズル、母ロングシンシア、母の父ワッスルタッチという血統を持つ。
マーチャンダイズはかつて、ロングチャンピオンという名で南関東・大井に入厩したが、2歳時で600kg近くあった馬体重が絞り切れず競走生活を断念。未出走のまま競走馬登録を抹消し、乗用馬として新冠町の乗馬倶楽部「遊馬ランド グラスホッパー」に引き取られた。
その後、マーチャンダイズは、トライアンフⅠと名を変え乗馬大会で活躍。とくに長距離を得意とする父ホワイトマズルの血は、乗馬のマラソン競技といえるエンデュランスのカテゴリーで本領を発揮。2008年の全日本エンデュランス選手権競技120kmにおいて、サラブレッドとして史上初めての完走を成し遂げた。
乗馬倶楽部「遊馬ランド グラスホッパー」の起伏ある自然の坂路で鍛え上げられたマーチャンダイズは今年、13歳にして競走馬デビューを決意。6月にホッカイドウ競馬の岡島玉一厩舎に入厩し、今度は門別競馬場の屋内調教用坂路でトレーニングを積んできた。
9月2日に受けた競走能力・発走調教検査では、乗馬時代の癖が抜けなかったため、基準タイムに達せず不合格。2度目のチャレンジとなった今回は、ブリンカー着用で万全を期した。レース経験のある3・4歳馬と混じって挑んだ検査では、先を行く3・4歳馬には離されたものの、最後まで集中を切らさず1000mを1分06秒4のタイムで駆け抜け、基準タイムの1分09秒0をクリア。晴れて競走馬の仲間入りをした。
エンデュランス競技でのパートナーを務めていた乗馬倶楽部「遊馬ランド グラスホッパー」の荒井亜紀さんは合格の報せに「前回駄目だったのでホッとしました。競馬とエンデュランスでは勝手が違いますが、長い距離でなんとかがんばってほしいと思います」と声を弾ませていた。
ホッカイドウ競馬では13歳で重賞を制したオースミダイナーの例はあるが、13歳での競走馬デビューはおそらく例のないこと。中高年の星として話題性も十分。マーチャンダイズのデビューを心待ちにしたい。