日本一早い2歳重賞、栄冠賞はノットオーソリティが完勝
全国の競馬場に先駆けて7月2日、門別競馬場では2歳馬による重賞・第38回栄冠賞(H2)[シンボリクリスエス賞]が行われた。距離はダート1200m。優勝馬には函館2歳S(G3)への出走権が与えられる。
今年はデビュー勝ちを決めた8頭を含む14頭が参戦。1番人気を争ったのは大差勝ちデビューを決めたノットオーソリティと、好時計で勝ち名乗りを挙げたクライリングの2頭。前者は父が、後者は母の父がスウェプトオーヴァーボードという血統で、引き締まった芦毛の馬体に、観衆の視線は集まった。他では、初戦で2着以下を9馬身ちぎり、船橋の名手・左海誠二騎手を配して挑むパンパカパーティ、数々の道営重賞で実績を残す桑村真明騎手、角川秀樹厩舎、小林祥晃オーナーが送るラブミーブルー、同レース母娘制覇がかかるオーバークロックに厚い予想印がまわっていた。
逃げ・先行で勝ち上がってきたメンバーが揃った中、レースは大外枠からクライリングがダッシュを利かせ、ハナを奪った。2番手グループはひと固まりで、ラブミーブルー、オーバークロック、エメラルナデシコが続き、それらを見ながらノットオーソリティが好位外目でレースを進めた。初戦とは打って変わってパンパカパーティは馬群の真ん中を追走し、勝負所に差しかかって全体の隊列はバラけていった。4コーナーで逃げるクライリングにオーバークロックが馬体を併せ、更にその外からノットオーソリティが並び、トップ集団3頭で直線に向く。底力が問われた最後のステージ、力強く抜け出したのはノットオーソリティで、残り200mのところで先頭に立った。服部茂史騎手の渾身のムチに応え、後続をグイグイ引き離した。2番手争いは混戦となり、先団を形成したクライリング、ラブミーブルーの粘り、エメラルナデシコの漸進に、パンパカパーティが溜めていた末脚で対抗した。ゴールはノットオーソリティが先頭で入り、終いの脚を生かしたパンパカパーティが2着、3着に人気薄エメラルナデシコが入り、2着馬を除いて掲示板は牝馬が占めた。勝ち時計は1分14秒8(良馬場)。
優勝した服部茂史騎手は表彰式のインタビューで、「強い勝ち方をしてくれましたね。道中の流れはそれほど速く感じませんでした。この馬のペースを守って走らせることを考えました。4コーナーの手応えが良かったので、自信を持ってゴーサインを出しました。関係者一丸となって重賞制覇を目指していたので、本当に嬉しいです。人間に素直で、パワーのあるところがこの馬の長所ですね。これからも応援宜しくお願いします。」と、笑顔で答えた。田中淳司調教師、服部茂史騎手ともに同レース初制覇で、ミータローで制した北海優駿(H1)に続き、今季道営重賞2勝目を飾った。
ノットオーソリティの生産は千歳市の社台ファーム。レースを見守った同牧場の斎藤孝調教主任は、「強いレースでしたね。牧場生産馬としましては、2006年のヴィヴァチッシモ以来の栄冠賞制覇となりました。母のフレンドリーマナーはサンデーサイレンスの産駒として旭川デビューさせて、道営重賞での活躍を期待していた馬でした。母が重賞制覇できなかった分、その娘で勝てて、本当に感慨深いです。今後は状態が良ければ、函館2歳S(G3)へ駒を進めることになると思います。(函館スプリントS(G3)を制した)パドトロワのような血統構成なので、函館の芝は合うでしょう。フレンドシップが出ている母系ですし、距離は延ばしても大丈夫だと思います。」と、感想を語っていた。