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デュランダル死亡

  • 2013年07月17日
  • デュランダル
    デュランダル
  • デュランダル-2
    デュランダル-2
  • デュランダル-3
    デュランダル-3

   最後方のポジションから大外一気。まるで、デュランダル専用のコースがあるかの如くのレースを繰り返した。名は体を表す、などというがフランスの叙情詩に登場する名刀から受け継いだ名前そのままに抜群の切れ味をいかしたレースが印象的だった。

    2連覇を狙ったビリーヴをハナ差交わしたスプリンターズS(G1)。復活をかけたファインモーションを豪快に差し切ったマイルチャンピオンシップ(G1)。そして桜花賞馬で天皇賞・秋(G1)2着のダンスインザムードを置き去りにして2連覇を成し遂げたマイルチャンピオンシップ(G1)。重賞3勝がすべてG1レースというのも、ほとばしる情熱をすべてレースで傾けた同馬らしい。デビュー前から体全体を使った柔軟な動きで抜群の瞬発力を垣間見せていたという。

   ただし、聖剣デュランダルは岩をも切断する強さを持っていたというが、名馬デュランダルは生あるサラブレッド。1戦1戦が身を削りながらの真剣勝負だった。2歳暮れのデビュー戦を快勝したあと、軽微な脚部不安を発症して8ヶ月の休養を余儀なくされたのをはじめ、その競走生活は自身との戦いでもあった。

   数々のタイトルを手土産に社台スタリオンステーションで種牡馬入り。その後、2011年シーズンから日高町のブリーダーズスタリオンステーションに移動して種牡馬生活を送っていた。

   14歳。現役を引退して8年も経つのかというのが印象だ。放牧地でのデュランダルは、いつも何かにイライラしているようだった。ご存知の方も多いと思うが、デュランダルのパドックはたくさんの牧柵で覆われている。まわりに馬がいると落ち着かない同馬を思いやっての配慮だそうだ。「落ち着きがない馬ではありますが、人間に対して攻撃的な馬ではないんです。負けず嫌いというか、ほかの馬に対する自己アピールがちょっと強いのです」とスタッフが教えてくれた。

   心臓麻痺の疑いが強いそうだ。放牧地ではなく、馬房で倒れたという。ラスト3ハロンの美学を追求したデュランダルは、まるでそのレースぶりを再現するかのように自身の引き際も加速したまま逝ってしまった。残ったのは、来年の春に誕生するだろうラストクロップと、そして強烈な思い出だ。冥福を祈りたい。