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JRA日高育成牧場生産馬が新馬勝ち

  • 2013年06月18日
  • ブリーズアップセール騎乗供覧でのグランシェリー
    ブリーズアップセール騎乗供覧でのグランシェリー
  • 偉大な父ミスタープロスペクターの後継として期待されているアルデバラン
    偉大な父ミスタープロスペクターの後継として期待されているアルデバラン

 6月15日の阪神競馬で、JRA日本中央競馬会日高育成牧場生産のグランシェリー(牝2歳)がデビュー勝ち。同牧場生産馬としては、3世代目産駒で初の新馬勝ちを記録した。

 この日、浜中俊騎手を鞍上に迎え、ダート1200m戦に単勝1.9倍という圧倒的な人気で出走した同馬は、好スタートから先行集団を見るような位置でレースを進め、直線は逃げた3着馬と早めに抜け出そうとした2着馬の間を割って出るように伸びて1分14秒6(良)で優勝した。馬体重は492キロだった。レース後、浜中騎手は「馬ごみも苦にしませんし、距離の融通もききそうです。今後が楽しみです」(ラジオNIKKEIより)とコメントを残し、将来性を語った。

 同馬は、父アルデバラン、母エポックサクラ(母の父サクラバクシンオー)という血統。母エポックサクラはJRAが2001年の北海道8月市場で315万円で落札したが、売却にいたらず研究馬の繁殖用として、同育成牧場で繁殖生活を送っていた。本馬は、その第6仔(競走馬産駒としては第2仔)として、2011年3月20日に浦河町にあるJRA日高育成牧場で産声をあげた。

 JRA日高育成牧場の記録によれば、生まれたときから母親ゆずりの大型馬。生まれた翌日の馬体重は62キロだったという。いわゆる健康優良児で大きな問題なく育成時代を過ごした同馬は、厳寒期は昼放牧のみのグループに入れられ、1歳3月から再び昼夜放牧を開始。その間、順調な成長曲線をたどり、1歳の8月に育成厩舎に移動し、10月1日から馴致をスタート。その頃にはすでに馬体重は500キロを超えていたという。

 持ち前の健康さは育成厩舎に入ってからも変わらず、順調に調整を積み重ねられ、3月下旬には坂路でハロン15秒をきるような時計も記録。その後は少しずつ距離を伸ばしながら4月9日に日高育成牧場で行われた騎乗展示では12秒5~11秒5を記録し、4月23日に中山競馬場で行われたブリーズアップセールに上場。当時のせり名簿には「父は米チャンピオンスプリンター。本馬の牝馬離れした骨量ある馬体から繰り出されるキャンターは、非凡な運動能力を感じさせる。スピードもトップクラスのものをもっており、併せ馬では闘争心をむき出しにして走る」と高い評価を与えられていた。

 公開調教でも12秒0~11秒5をマークし、JRAホームブレッドホース8頭中3番目の高額となる714万円で大阪府の間宮秀直氏によって落札された。せりから、わずか3ヶ月足らずでの初勝利だった。