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元地方競馬騎手・桑島孝春さんの講習会が行われる

  • 2013年06月11日
  • 講師を務めた元地方競馬騎手・現NAR地方競馬全国協会参与の桑島孝春さん
    講師を務めた元地方競馬騎手・現NAR地方競馬全国協会参与の桑島孝春さん
  • 講習会に先立ち挨拶する谷川彰久BTC利用者振興会長
    講習会に先立ち挨拶する谷川彰久BTC利用者振興会長
  • 講習会を主催した高松勝憲軽種馬育成調教センター日高事業所長
    講習会を主催した高松勝憲軽種馬育成調教センター日高事業所長
  • 満員御礼となった桑島孝春さんの講習会
    満員御礼となった桑島孝春さんの講習会

 6月7日、浦河町西舎の公益財団法人軽種馬育成調教センター軽種馬診療所2階会議室において、元地方競馬騎手・桑島孝春さんによる「競走馬として最高の能力を発揮するために必要な育成技術~騎乗回数4万回を達成した、騎手からの視点~」と題した講習会が行われた。

 この講習会は技術普及事業の一環で、BTC利用者振興会(谷川彰久会長)と公益財団法人軽種馬育成調教センターの共催。主催者を代表して谷川彰久会長は「プロの騎手として頂点を極めた桑島さんを講師に迎えて講習会を開催することになりました。騎手として、ホースマンとしての心構えを教えていただければと思います」と挨拶。当日はBTC周辺の育成牧場の経営者やスタッフ、生産者、4月から研修に励むBTC育成調教技術者養成研修第31期生など約100名が出席した。

 講師の桑島さんは地元浦河町上杵臼の出身。1971年、16歳のときに南関東・船橋競馬場で騎手デビューし、新人賞を獲得。2010年5月に55歳で引退するまでに、地方競馬騎手として歴代最高となる4万201回の騎乗回数を記録し、重賞競走86勝を含め4713勝の成績を収めた。1985年のジャパンC(G1)では船橋競馬所属のロッキータイガーに騎乗し、シンボリルドルフの2着に健闘。地方競馬を代表する名手の一人として活躍した。引退後はNAR地方競馬全国協会の参与として、騎手候補生の指導、公正(裁決等)関係のアドバイザーなど、約40年間に渡る騎手生活で培った技術や経験を惜しみなく後進に伝えている。

 講習会は前もって桑島さんに寄せられた質問に答える形で進行。騎手になったきっかけ、初めて馬に跨ったときの感想、自分が騎乗した中で思い出に残る馬、騎手時代の生活、調教師にならなかった理由などを披露。約40年間も騎手を続けられた理由は「大きな怪我や減量の心配が無く、身も心もハッピーな状態でいられたから」と明かした。

 続いて育成技術についての質問にも返答。牡馬と牝馬の違い、馬に負担がかからない乗り方、ゲートや馬群を怖がる馬への接し方などを説明した。桑島さんは「馬は慣れる動物。根気よく馬を信じて続けてほしい。愛馬の心を持って馬に接してほしい」と訴え、出席した若いホースマンたちには「私は騎手になったときから焦らず地道にやってきました。そのことが4万回騎乗、4000勝につながったんだと思います。みなさんも地道にホースマンとしての知識や技術を勉強してほしい」とエールを送った。

 講習会を主催した高松勝憲軽種馬育成調教センター日高事業所長は「今回は桑島さんから多岐にわたるテーマでお話を聞くことができ、とても参考になったと思います。BTCの素晴らしいところは立派な施設と思われているところがありますが、本当にすごいのはこのBTCを利用されている育成牧場の方々の技術の高さであると確信しています。これからも育成技術向上のサポートができるような講習会を開催していきたいと考えてます」と話していた。