ブライアンズタイムが死亡
ナリタブライアンVSマヤノトップガンの“同門対決”や、人気はいらないから1着が欲しいといった2冠馬サニーブライアン。そのサニーブライアンが勝った皐月賞(G1)の2着馬もブライアンズタイムを父に持つシルクライトニングだった。ファレノプシスとナリタルナパークでワン・ツー・フィニッシュを決めた秋華賞(G1)、ほか、エアグルーヴの夢を打ち砕いたシルクジャスティスの有馬記念(G1)や、アドマイヤドンの顔色を失わせたタイムパラドックスのジャパンカップ・ダート(G1)も印象深いし、ダービー馬タニノギムレットの娘ウオッカの活躍にも心ふるわされた。
ブライアンズタイム産駒最大の特徴は、相手が強ければ強いほど闘志を沸き立たせるここ1番の強さ、集中力だった。
そんな数々の名シーンを演出してくれた名種牡馬ブライアンズタイムが死亡した。4月4日午前。アロースタッドの放牧地で大腿骨を骨折。安楽死となったそうだ。
オグリキャップと同じ28歳。昨年あたりから受胎率が低下してきたというが、馬産地での人気は高く、今シーズンも種付業務をこなしていた。もちろん、現役種牡馬としては最高齢だった。放牧地で倒れたというのも、最後まで現役であったのも、ある意味ではブライアンズタイムらしい最期だったのかもしれない。
米国生まれのブライアンズタイムの通算成績は21戦5勝。豪快な追い込みを武器に2つのG1競走に勝っているもののケンタッキーダービー(G1)6着。プリークネスS(G1)2着。ベルモントS(G1)3着と勝ちきれないクラシックを過ごし、5歳時から日本で種牡馬生活をスタートさせた。決して大きな期待を担ってのスタートではなかったが、初年度産駒ナリタブライアンとチョウカイキャロルがクラシックを席巻、2年目産駒マヤノトップガンが菊花賞(G1)、有馬記念(G1)を連勝して、人気を不動のものとした。積み上げた成績はJRA通算勝利数は歴代3位の1593勝(3月31日現在)。20年連続重賞勝利(交流重賞、障害重賞含む)はノーザンテーストと肩を並べて歴代最多タイ。3頭のダービー馬含め5大クラシック競走制覇など種牡馬としての記録は枚挙にいとまがない。
惜しむらくは、サンデーサイレンスとほぼ同時期の種牡馬生活だったために総合チャンピオンサイアーとしてその名を残すことができなかったことか。それでも総合サイアーランキングで2位7回3位7回。1994年から15年連続でベスト5入りを果たしている。
数えきれないほどの名馬が芝に、ダートに鮮烈な記憶を残しており、その記憶は永遠だ。
残された産駒の活躍とともに、同馬の冥福を祈りたい。ありがとう。
なお、お別れ会や献花台については、決まり次第お知らせいたします。