平成24年度産業動物(馬)講習会が開催される
12月17日、苫小牧市の日胆農業会館3F会議室において、平成24年度産業動物(馬)講習会が開催された。
この講習会は胆振獣医師会馬部会の主催で北海道家畜畜産物衛生指導協会が後援。「馬の臨床における超音波画像診断」をテーマに講師4名による講演が行われた。
講習会には胆振や日高から100名を超える獣医師や牧場関係者が出席。講演に先立ち大野和道胆振獣医師会会長は「本日はお忙しい中、沢山の方にお越しいただきありがとうございます。私は妊娠鑑定でしか超音波画像診断をしないので、今回の講演は大変楽しみにしております。この講習会は今年で15年、15回目を迎えました。ご協力ご支援いただいた関係者の方々に感謝申し上げます」と挨拶。講習会を主催した社台ホースクリニックの田上正明胆振獣医師会馬部会会長は「講習会では毎回、臨床の身近なテーマを決めて行ってきました。現場での先生の研究の成果をお話していただいたことに対して討論するというのが、この講習会の趣旨です。今日はゆっくりと熱心に聴講いただき、どんどん質問や意見をお聞きしたいと思います」と呼びかけた。
講習会では最初に田上先生がイントロダクションとして「馬の画像診断の現状と近未来」について講演。画像診断の例や日本での画像診断の歴史などを紹介し、「超音波診断はあくまでも仮診断である。正確な解剖学的知識と正常像の認識が不可欠で、経験を積んで見る目を養うこと、先入観や思い込みを捨てること、深読みしてはいけない」とまとめた。
「一次診療における超音波画像診断」をテーマにしたノーザンファームの津田朋紀先生は、検査コストが安く、リアルタイムで観察でき、視覚として情報の共有・記録が可能といった超音波検査の特性を説明。繁殖検診、腹部疾患、胸部疾患、骨疾患などの超音波画像診断例を紹介し「意識的に機会を作ってエコーを当ててみましょう」と訴えた。
日高地区NOSAI日高家畜診療センターの樋口徹先生は「腹部の超音波画像診断」について講演。自ら治療した当歳馬や1歳馬、繁殖牝馬などの超音波画像を例に挙げ、「超音波装置の進歩により腹部臓器の超音波診断の価値は向上している。また、急性腹症の診断においても直腸検査の診断力をしのいでいるかもしれない。しかし、過信せずに総合的に判断することが大切です」と話した。
午後からは社台ホースクリニックの鈴木吏先生が「馬の胸部(心臓)超音波画像診断」について、同じく社台ホースクリニックの加藤史樹先生が「馬の運動器疾患に対する超音波画像診断」について講演。最後は出席者全員で総合討論が行われ、活発な意見交換が展開された。
また、この日は昼食の時間を利用してランチョンセミナーも開催。日立アロカメディカル(株)MS営業本部販売企画課の加藤健二氏が「超音波の有用な機能について」解説、全国公営競馬獣医師協会の上田毅氏は「馬の防疫および地方競馬場における規制薬の導入」について説明を行った。