馬産地ニュース

馬の跛行に関する講演会が行われる

  • 2012年12月10日
  • 悪天候の中、300名が出席した講演会
    悪天候の中、300名が出席した講演会
  • 主催者を代表して挨拶する中西信吾日本軽種馬協会静内種馬場軽種馬生産技術総合研修センター長
    主催者を代表して挨拶する中西信吾日本軽種馬協会静内種馬場軽種馬生産技術総合研修センター長
  • 講師を務めたスー・ダイソン先生
    講師を務めたスー・ダイソン先生
  • 座長・進行を務めた小林光紀BTC軽種馬育成調教センター獣医学博士
    座長・進行を務めた小林光紀BTC軽種馬育成調教センター獣医学博士

 12月6日夜、新ひだか町の静内ウエリントンホテルにおいて、日本軽種馬協会主催による馬の跛行に関する講演会が行われた。

 この講演会は日本軽種馬協会の軽種馬経営高度化指導研修事業の一環。日本ウマ科学会臨床獣医師ワーキンググループの共催で、JRA日高育成牧場、日高獣医師会、胆振獣医師会、BTC軽種馬育成調教センターの後援で実施された。

 講演内容は「ウマの跛行の診かたと基本的な検査方法について~歩様の診かた、触診、診断麻酔、画像診断~」。講師には英国の獣医師教育財団がもととなってできた非営利組織である、英ニューマーケットのアニマルヘルストラスト馬部門で運動器疾患の主任を務めるスー・ダイソン先生を招いた。

 当日の北海道は発達した低気圧による大荒れの天候となったが、日高・胆振地区から牧場関係者や獣医師約300名が出席。講演を前に主催者を代表して中西信吾日本軽種馬協会静内種馬場軽種馬生産技術総合研修センター長は「本日は生憎の天候となりましたが、たくさんの方々に参加をしていただきありがとうございます。本日の講演では牧場で仕事をする方々を対象に、英国における馬の跛行に関する情報など貴重なお話をしていただきます」と挨拶した。

 ダイソン先生は英国の名門・ケンブリッジ大学出身。馬の跛行に関する画像診断やプアパフォーマンス診断のスペシャリストで、跛行のバイブルとされる「Lameness IN THE Horse」の共著者として知られている。科学雑誌への論文投稿は200を超え、その功績から様々な賞を受賞。ニューマーケットという場所柄、競走馬の診断も多く、また先生自身は障害飛越などの乗馬の選手としてならし、馬に関する豊富な経験と知識をもっている。

 講演では馬を歩かせている動画をもとに、跛行の原因を説明。歩様をみるときには「前肢と後肢の左右球節の可動域の違いや肢の振り上げ方、それぞれの蹄はどのように着地するか、リズリカルな歩様か」といったことに注意するよう指摘した。

 また、X線画像や超音波検査による跛行の原因となる症例を紹介。最後に跛行の早期発見と正確な診断は治療の成功につながるとし、定期的な検査の重要性を訴えた。