「胆振地区生産育成技術講座2012」が開催される
11月19日、苫小牧市の苫小牧グランドホテルニュー王子2階「若草の間」において、胆振軽種馬農業協同組合(高橋秀昌代表理事組合長)と胆振軽種馬農業協同組合青年部(吉田俊介部長)の共催による「胆振地区生産育成技術講座2012」が開催された。
この講座は苫小牧市に会場を移して3年連続3回目の開催。今年は石丸睦樹JRA日高育成牧場業務課長を講師に招聘し、「JRA育成馬の購買からブリーズアップセールまで」をテーマに講演が行われた。
講演に先立ち、主催者を代表して吉田俊介青年部長が挨拶。「これまで技術的なことをテーマに講演を行ってきましたが、今回は皆様の生産馬の販売の中心となるせり市場についてお話を伺うことになりました。どういった馬が販売者に好まれるのかということは、生産馬を販売する上で生産者が気にかけなければならないことと思います。本日は購買者、販売者と両方の立場におられるJRAの石丸様から、せりに対する考え方や様々な取り組みを聞かせていただきます。この講演から一つでも多くのものを持ち帰って、それぞれの仕事につなげていただければと思います」と呼びかけた。
講師の石丸さんは東京農工大学卒業後の1991年にJRA日本中央競馬会に入会。美浦・栗東トレーニングセンター、日高・宮崎育成牧場、英国ニューマーケットでの研修、馬事部・生産育成対策室などを経て、2010年から日高育成牧場業務課長に就き、JRA育成馬の調教やせり市場での1歳馬購買を担当する購買官として活躍している。今年のJRAブリーズアップセール取引馬で、11月10日のファンタジーS(G3)に優勝したサウンドリアーナを発掘した相馬のプロとしても知られている。
講演では最初にJRAが行う生産育成業務の内容を説明。1歳市場で購買した育成馬や日高育成牧場で生産したホームブレッドたちを用いての生産育成技術開発や調査研究やブリーズアップセールで売却した馬たちの成績を検証した結果を生産界にフィードバックすることが重要な仕事の一つと明かした。
続いて馬の見方を伝授。バゴ、サマーバード、タートルボウル、セイウンワンダー、サウンドリアーナなどの立ち写真をサンプルに、「短背長躯、胴は正方形のイメージ、肢と胴の長さは等分、バランスの良い馬は胴を3等分できる」といったコンフォメーションの着眼点を披露した。
また、レポジトリーの考え方、購買後からブリーズアップセールに向けての調教や様々な取り組みについても言及。X線については「前肢種子骨のグレードの高いものは繋靭帯炎に注意」、内視鏡については「多くの所見が若馬特有であり問題ないことが多い」との考えを示した。
当日は胆振地区だけでなく、平取、門別、三石、荻伏から100名を超える牧場関係者が出席。知識と経験に裏付けされた相馬のプロの話を熱心に聞き入っていた。