馬産地ニュース

道営記念はモエレビクトリーが逃げ切る

  • 2012年11月20日
  • モエレビクトリー
    モエレビクトリー
  • 1週目スタンド前
    1週目スタンド前
  • 引きあげてくる人馬
    引きあげてくる人馬
  • 喜びの口取り
    喜びの口取り
  • 田中淳司厩舎所属馬が1・2着
    田中淳司厩舎所属馬が1・2着

 門別競馬場では今年のホッカイドウ競馬、フィナーレを飾る大一番、第55回道営記念(H1)[アドマイヤムーン賞]が行われた。距離はダート2000m。

 今年のメンバーは16頭。重賞馬9頭という豪華な顔触れで、まさにホッカイドウ競馬のドリームレース。1番人気は前哨戦、瑞穂賞(H2)を快勝したリアライズノユメ、続いて、JRA移籍後底を見せていないシャア、地元戦2連勝で急上昇中モエレビクトリーと、いずれも新興勢力が上位人気を占めた。昨年の覇者ショウリダバンザイは4番人気、地元のヒロイン、クラキンコは5番人気でレースを迎えた。

 例年、心配される雪は避けられ、晴れ・重馬場で生ファンファーレが鳴った。それぞれのファンの想いを乗せ、ホームストレッチを16頭が通過する。例によってモエレビクトリーが単騎で逃げ、リアライズノユメがそれを見るように2番手。シャアもすかさず先行し、レース序盤から人気馬3頭がけん制し合った。向正面に入ると、隊列は落ち着き、各馬にらみをきかせながら息を入れる。馬群は縦長のまま流れて4コーナーへ。モエレビクトリー、リアライズノユメ、エイシンナナツボシの3頭がトップグループを形成し、早めスパートで勝負をかける。先行したシャアはよもや脱落し、後続はショウリダバンザイ、クラキンコの牝馬2頭がゴーサイン。_しかし、差し・追込馬の出番はなかった。モエレビクトリーが見事な持久力を発揮し、好調・阪野学騎手操るエイシンナナツボシの反撃を抑え、余裕を持って完封した。3着はショウリダバンザイが意地を見せ、リアライズノユメ、クラキンコと続いて、地元トップクラスの牝馬が健闘した。勝ち時計は2分6秒3(重馬場)。

 騎乗した服部茂史騎手は同レース初制覇。最終日のこの日まで五十嵐冬樹騎手とリーディングを争っていて、7Rと12Rの勝利でリーディングをもさらった。「スタートも良く、先頭に立ってくれて、馬が自然にペースを作ってくれましたね。僕自身も獲りたいタイトルでしたし、今までも惜しいレースもあったので、優勝できて本当に嬉しいです。今シーズンはスランプもあり、諦めかけたのですが、皆さんの応援のお陰でリーディング獲ることができました。本当にありがとうございました。」と、表彰式で笑顔が弾けた。管理する田中淳司調教師も同レース初Vで、管理馬エイシンナナツボシとワン・ツーフィニッシュで締めくくった。

 モエレビクトリーは新ひだか町の中村和夫さんの生産。父ゴールドヘイロー、母トチノビクトリー、母の父オジジアンという血統の6歳馬。2歳時、ホッカイドウ競馬でデビューして4勝し、ホッカイドウ競馬トレーディングセールに上場。セール2番目の高値となる1,155万円で取引された。3歳時に美浦・的場均厩舎に移籍し、京成杯(G3)3着好走を皮切りに、小回り・中距離での逃げを得意としてオープンまで出世。故障のためホッカイドウ競馬へ移籍することになり、今夏、門別に帰ってきた。休養期間を担当した日高町・宝寄山育成牧場の宝寄山さんはレースを見守り、「優勝できて本当に嬉しいです。種子骨炎で一時は引退も考えましたが、ファンの多い馬ですし、復帰へ向けて精一杯ケアして送り出しました。」と、しみじみと語っていた。

 堂々の逃げ切りで栄冠を手にしたモエレビクトリー。JRAでの実績もさることながら、古巣の水も合うのだろう。末脚勝負の馬が目立つ今、自力勝負の果敢な逃げが新王者のスタイル。とにかく前へ_彼らしい攻撃的な姿勢は、見る人の心にも火をつけるのではないか。