馬産地ニュース

「強い馬づくりのための生産育成技術講座2012」が行われる

  • 2012年11月12日
  • 173名が出席した「強い馬づくりのための生産育成技術講座2012」
    173名が出席した「強い馬づくりのための生産育成技術講座2012」
  • 主催者を代表して挨拶する中田亨平取町軽種馬生産振興会青年部長
    主催者を代表して挨拶する中田亨平取町軽種馬生産振興会青年部長
  • レポジトリーについて講演する中井健司氏
    レポジトリーについて講演する中井健司氏

 11月8日夜、日高町の門別総合町民センターにおいて、JRA日高育成牧場と日高軽種馬生産振興会青年部連合会の共催、日高軽種馬農業協同組合の後援による「強い馬づくりのための生産育成技術講座2012」が行われた。

 この講座は競走馬の資質向上や生産育成関係者への情報・技術普及を目的としたもの。毎年、軽種馬生産の閑散期である秋から冬にかけて開催されている。

 この日は地元・門別競馬場での交流重賞競走、北海道2歳優駿(Jpn3)と重なったため、「参加者が少ないのでは」(青年部員談)と心配されたが、日高だけでなく胆振地区からも合わせて173人もの軽種馬生産関係者が出席し、用意した席が足りなくなるほどの盛況ぶり。強い馬づくりに熱意を燃やす参加者を前に、主催者を代表して中田亨平取町軽種馬生産振興会青年部長は「お忙しいところ、多くの方に参加していただきありがとうございます。今日は3名の講師の方に講演をお願いしました。今日の講演が皆様の生産育成技術の発展、生産育成馬の活躍に役立つことを祈念いたします」と挨拶した。

 講演内容は「いまさら聞けないレポジトリー。その基本について知ろう!」(講師:JRA日高育成牧場業務課中井健司氏)、「お腹の胎子は大丈夫?妊娠期の検査について知ろう!」(講師:JRA日高育成牧場生産育成研究室南保泰雄氏)、「昼夜放牧のススメ。厳冬期の昼夜放牧は有効か?」(講師:JRA日高育成牧場業務課遠藤祥郎氏)の3題。JRA日高育成牧場生産育成研究室の佐藤文夫氏、日高軽種馬生産振興会青年部連合会が司会進行を務めた。

 中井氏はレポジトリーについて、「購買者は購買の判断材料になり、疾病などの購買後のリスクを回避できる。せり主催者は購買者に対してせりの透明性を提供できる。上場者は売買契約解除を回避できる」と3者にとっての利点を強調。JRA育成馬のデータをもとに、X線所見、内視鏡所見を述べ、レポジトリーで見られる様々な所見ついて「臨床症状がない場合、その多くは問題ない」と結論付け、「せり主催者、上場者、購買者が正しい認識を共有化しておくことが重要」と訴えた。

 南保氏は繁殖成績を向上させるには「ライトコントロール、養分要求量を満たす栄養管理、自然な分娩、分娩後初回発情を見送る、排卵誘発剤、早期胚死滅の対策の6つがポイントになる」と指摘。それぞれについて、ノウハウや対策をレクチャーした。

 最後に遠藤氏は、JRA育成馬で行った厳冬期の昼夜放牧組とウォーキングマシーンによる運動を併用した昼放牧組の2つのグループによる、移動距離、身体検査、血液検査、自立神経活動などのデータを比較。それぞれの今後の課題について、昼夜放牧組は「基礎代謝が低下するための防止策」を、昼放牧組は「基礎代謝の維持」を挙げた。

 各演題が終了した後には、参加者から質問が続出。活発な意見交換が展開された。締めの挨拶をした平賀敦JRA日高育成牧場副場長は「始まる前は質問が出ないのではと心配しましたが、多くの質問が出てビックリしてると同時にありがたく思っています。今日の講演の中から一つでも良いから実践してください。すべて成功するわけではないが継続することが重要です」と呼びかけていた。

 なお、同様の講座は11月7日には浦河町の基幹集落センター堺町会館でも開催。こちらには、浦河・様似・新ひだか町から85名の生産育成関係者が参加した。