リリーカップはハニーパイが優勝
8月30日、門別競馬場では2歳牝馬重賞、第9回リリーカップ(H3)[ゴールドアリュール賞]が行われた。距離はダート1000m。
今年のメンバーは13頭で、5頭のフレッシュチャレンジ競走勝ち馬と、3頭のOP競走勝ち馬を含む顔ぶれ。1番人気はスペシャルウィーク産駒のジョリーフルールで、牝馬ながら500kgを超す雄大な馬体が他馬を威圧。2番人気ハニーパイは今季の道営で1、2を争う高レベルのデビュー戦で2着し、続く2戦目ではぶっちぎりで初勝利を挙げた。続いて、そのハニーパイを破ってOPを勝ったブリリアントロビン、デビュー戦で大差勝ちを決めたホリノケイが人気を集めた。
電撃の5ハロン戦、ミスの許されないスタートは人気のブリリアントロビン、キャニオンピュアが痛恨の出遅れ。この2頭はメンバー中でキャリアの多い馬だっただけに、そのあたりは2歳牝馬の難しさか。レースはビハインドを挽回してキャニオンピュアが逃げ、ハニーパイが2番手。逃げ・先行馬を見ながらジョリーフルールが好位をとって4コーナーをまわる。直線ではハニーパイがトップスピードに乗って先頭に立ち、それを目がけてジョリーフルール、中団待機のホリノケイらが漸進し、残り1ハロンでは3頭が抜け出す。ラストはこの時期の2歳牝馬とは思えぬ迫力ある追い比べとなり、黒澤愛斗騎手の渾身の手綱でハニーパイが粘り通した。2着はホリノケイ、3着にジョリーフルールが入り、人気上位馬による決着となった。3着馬から4着馬には6馬身の差がついており、今回は上位3頭の力量が抜けていたといえるだろう。勝ち時計は1分1秒3(良馬場)。
騎乗した黒澤騎手は表彰式のインタビューで、「優勝できて嬉しいです。ゴール前は最後まで残ってくれという気持ちでした。ゲートが速く、内の馬が行かなかったので、楽に前につけられました。コーナーで被されましたが、ペースを乱さないように乗りました。抜け出してからは追いつかれないように必死でしたね。馬には“ありがとう”と言いたいです。これからも頑張りますので、応援宜しくお願いします。」と、はつらつとした表情で答えた。デビュー5年目の黒澤騎手もこれで重賞初制覇。毎年リーディング順位を上げており、今回の勝利で重賞での有力馬騎乗機会も増えそうだ。
ハニーパイは新ひだか町静内のグランド牧場の生産。父はダート短距離で一時代を築いたサウスヴィグラス。アサティス肌の母チャームカーニバルはこれまで4頭の仔を出産し、1歳にはハニーパイの全妹、当歳には全弟がいる。サウスヴィグラス×アサティスという血統構成は、2009年の全日本2歳優駿(Jpn1)優勝馬ラブミーチャンや、今年の浦和・桜花賞を逃げ切ったコテキタイと同じで、また一頭、実績の掛け合わせから優れたダート馬が誕生した。