静内農業高校生産馬「華凛」がサマーセールに上場
8月20日から5日間行われたHBAサマーセール・1歳で北海道静内農業高校生産馬の「華凛(カリン)」が上場し、78万7,500円で落札された。
華凛は父キングヘイロー、母ゴートゥザノース、母の父アグネスタキオンという血統の牝馬。毛色は母譲りの栗毛で、2011年4月28日に北海道静内農業高校で誕生した。同校は全国で唯一サラブレッドの生産を行う公立高校で、過去の生産馬にはユメロマン(JRA3勝)、ゴーゴーヒュウガ(JRA現2勝)がいる。
北海道市場には毎年のように生産馬を上場しており、今年の華凛はサマーセール最終日の序盤に登場した。誕生から携わっている同校3年生・下山主水(しもやま もんど)さんが引き手となり、午前の展示からせりまでを担当した。
朝一番の展示時間に登場した華凛は、馬体をチェックしてまわる購買者に囲まれながらも、冷静な様子でいた。「落ち着いていましたね。夜間放牧や引き運動の成果で、並足では力強く歩けたと思います。周りには上手い引き手の方や、素晴らしい馬が沢山いましたが、自分たちができることはやってきたし、あまり緊張し過ぎず、人間が力まないことを心がけました。」と、下山さんは振り返る。平常心を保つパートナーを頼りに、華凛はきっちりと購買者へアピールを続けた。
華凛の上場番号「1046番」がコールされたのは12時44分。「宜しくお願いします!」という下山さんの声とともに、せり会場内の鑑定人台の前へ立った。50万円のお台からスタートすると複数から声がかかり、競り合いの結果、78万7,500円で新冠町のキタジョファームが落札した。
「せり会場内にも何度かスクーリングをしたので、独特の空気にのまれることはなかったです。第一声がかかった時は本当に嬉しくて、馬を引きながら感動していました。」(下山さん)
落札後はキタジョファーム・北所直人社長と生徒たちが記念写真を撮り、高校生の成果に大勢の報道陣がシャッターを切った。「カメラが多くて、記念撮影の時に北所社長が“G1を勝ったみたいだね”と言っていたのを覚えています。」と、下山さんは歓喜の瞬間を思い出す。
競走馬デビューへの道を確かにした華凛は、9月上旬にキタジョファームへ移動することが決まった。下山さんは、「約一年半育ててきたので、やっぱり思い入れは深いです。寂しい気持ちはありますが、売れてホッとしたという気持ちの方が大きいですね。わがままなところはありますが、賢さもあるし、デビューしたら競馬場まで応援に行きたいですね。ユメロマンの3勝を超える活躍を期待しています。」と、エールを送っている。