馬産地ニュース

浦河町で第3回「サンクスホースデイズ」開催

  • 2012年08月30日
  • 開会式で挨拶する福留健一実行委員長
    開会式で挨拶する福留健一実行委員長
  • タレントの武田鉄矢さんをまじえてのトークショー
    タレントの武田鉄矢さんをまじえてのトークショー
  • 橋本聖子議員は五輪競技と馬について語った
    橋本聖子議員は五輪競技と馬について語った
  • 障がい者乗馬デモンストレーション
    障がい者乗馬デモンストレーション
  • ウエスタンショーを楽しむ大勢の来場者
    ウエスタンショーを楽しむ大勢の来場者
  • 体験乗馬の様子
    体験乗馬の様子

 8月26日から2日間、浦河町にある浦河町乗馬公園で第3回Thanks Horse Days(サンクスホースデイズ)が開催された。

 このイベントは「馬に携わる人たちが馬に感謝する日」として昨年より始まり、第1回目は兵庫県の三木ホースランドパーク、第2回目は愛知県の名古屋競馬場で開催された。障がいのある方や心の病気を抱えた方と馬との関わりを広めるとともに、馬が持つ素晴らしい魅力を伝える。

 主催するThanks Horse Days実行委員会は、調教中の落馬事故で下半身不随となってしまった元JRA調教助手・福留健一氏を実行委員長に、JRA調教師・角居勝彦氏が実行副委員長を務めた。開催にあたっては軽種馬生産牧場、育成牧場、馬主、馬主協会、JRA厩舎関係者、調教師会等が協賛し、浦河町の牧場・乗馬関係者が多数運営にあたった。

 1日目となった8月26日は好天に恵まれ、開会式から続々と来場者が詰めかけた。午前の部は屋内メインステージで東京大学名誉教授・局博一氏による講演「馬介在療法の未来のために」から始まり、共催する「べてる祭り」に訪れていたタレントの武田鉄矢さんをまじえたトークショー、障がい者・高齢者乗馬デモンストレーションが行われた。午後は登校拒否文化医学研究所所長で、臨床心理士の高橋良臣氏による講演「不登校の子ども達とホースセラピー」、帝京科学大学医療科学部教授で、作業療法士の石井隆弘氏による講演「乗馬療法と発達障害-感覚統合理論を通した理解-」と続き、最後は屋外角馬場でD-Jランチの持田裕之氏による「ウエスタンショー」で締めくくった。

 障がい者・高齢者乗馬デモンストレーションを手がけたわらしべ乗馬療育研修センター・インストラクターの江刺尚美氏は、「障がいがあっても上手に馬に乗り、馬上で様々な動きができることを知ってもらう貴重な機会となりました。デモンストレーションでは障がい者乗馬の研究者にも見ていただき、ギャラリーからは大きな拍手があって、騎乗者の方は大変喜んでいました。今後も乗馬がもたらす効果をあらゆる角度から分析し、乗馬療法をもっと普及させていきたいと思います。」と、振り返った。

 屋外催事場では物販、飲食、展示、体験コーナーが設けられ、子供向けの紐馬作りや、浦河町内の障がい者施設の活動が紹介された。日曜日とあって朝から子供の姿が多く、芝生広場で行われたポニー馬車、角馬場での体験乗馬では子供の笑顔が広がっていた。馬の引き手や騎乗者のサポート役には地元の牧場や乗馬クラブ、少年団の皆さんが務め、炎天下の中で馬と共に汗を流していた。馬とのふれ合いコーナーにはポニーの仔馬が登場し、子供でも抱きかかえられるほどの小ささに、仔馬を見つけた来場者は一様に「かわいい!」とその顔を撫でていた。

 運営スタッフと一緒になってステージの舞台転換をしたり、車いすの方が快適に参加できるように会場整備に努めたりしていた角居勝彦氏は、一方で、競走馬として活躍できなかった馬の行く末を案じ、引退後の競走馬が活躍できる場・機会の広がりも目指してイベントに尽力している。今回も元競走馬が多数起用され、来場者に時に儚いサラブレッドの命を見つめる場として、関心を促していた。

 開催中、福留健一実行委員長はトークショーで馬の魅力を伝え、各講演やショー、乗馬体験では、その様子をじっくりと見守っていた。1日目を終えて、「天気も晴れて、沢山の方に足を運んでいただけました。イベントに携わってくれた浦河の皆さんは、馬の扱い方や知識に長けた方ばかりで心強かったです。今後も馬の魅力を広められるように、力を合わせて盛り上げていきたい。」と、力強く語っていた。