ブリーダーズゴールドジュニアカップはカイカヨソウが逃げ切る
門別競馬場では8月2日、ホッカイドウ競馬唯一の2歳H1戦、第6回ブリーダーズゴールドジュニアカップ(H1)[ヴィクトワールピサ賞]が行われた。距離はダート1800m。
今年はJRA札幌のクローバー賞、コスモス賞と施行時期が重なった影響で、出走頭数は8頭と寂しくなったが、デビューから素質の高さを感じさせる2歳馬が激突した。
1番人気はフレッシュチャレンジ競走を出遅れながら制したアウターバンクスで、パドックでは馬っ気を見せていたものの、非凡な能力を買われた。2番人気はデビュー戦を危なげなく逃げ切ったビービーボイジャー、アルカセット×トニービンの配合からは距離延長がプラスと目された。続いて、同じくデビュー戦の内容が光るカイカヨソウ、中距離戦経験済みのセラミックガール、メンバー中唯一の重賞出走馬コパノエクスプレスが票を集めた。
レースはストーミングスター、カイカヨソウが行き足良く、お互いの出方を見ながら1コーナーへ。向正面に入ると隊列は落ち着き、カイカヨソウが3、4馬身離して逃げ、そのあとの先行グループは団子状態。アウターバンクスは外目3、4番手を追走し、ビービーボイジャーは後方2番手で先団をにらむ。逃げ脚をためるように3コーナーではカイカヨソウが一旦後続を引きつけ、ストーミングスター、アウターバンクスが気合をつけながら前へ。この3頭が馬群から抜け出るようなかたちで直線に入る。岩橋勇二騎手の手応え十分にカイカヨソウは再び加速を始め、それを目がけてアウターバンクスも猛追し、最後は2頭の争い。残り200mでは馬体が合うか思いきや、カイカヨソウの底力が勝った。緩急をつけた味な競馬で、最後までしっかり伸び脚を見せ、迫るアウターバンクスに影を踏ませなかった。勝ち時計は2分0秒2(良馬場)。幼さを見せながらも2着にアウターバンクス、先行したストーミングスターが3着に踏ん張った。
騎乗した岩橋勇二騎手は今年重賞初勝利を飾った。表彰式では、「馬の力のおかげです。長い距離が初めてで、道中は物見をしていましたが、3コーナーで手応えがあったし、いけると思いました。これからも応援宜しくお願いします。」と、いつもながらの謙虚な姿勢で話していた。現在、リーディングでは五十嵐冬樹騎手に次ぐ第2位につけており、ホッカイドウ競馬の未来を背負う若手騎手の一人に成長している。
カイカヨソウの生産は安平町のノーザンファーム。牧場の皆さんも多数応援に駆け付けていた。ノーザンファーム空港の菅谷清史獣医師は、「優勝できて嬉しいです。牡馬を負かしたのですから、強い牝馬ですね。今回のレースでは生産馬のワンツーでしたので、喜びもひとしおです。牧場時代はすこぶる順調に育ち、デビュー後も着実に力をつけていますね。」と、喜びを語っていた。
血統は父がティンバーカントリー、母マチカネヤマザクラは凱旋門賞馬エリシオの血を引く。カイカヨソウは3番仔で、初仔がブラックホークの牝馬、2番仔がスウェプトオーヴァーボードの牝馬。母馬には初仔誕生後に2年連続でティンバーカントリーの種付け歴があり、この配合には期するものがあったのかもしれない。母系には2004年の忘れな草賞勝ち馬ドルチェリモーネの名前がある。
今年で6回目を数えるこのレースにおいて、牝馬の優勝は初。1800mで結果を出したあたりは、豊富なスタミナ、持久力を感じさせる。今年は2歳牝馬シーギリヤガールが栄冠賞(H2)を制しており、グランシャリオナイターから新たな有力牝馬の登場となった。