馬産地ニュース

オータムセール購入馬などが出国検疫へ

  • 2012年03月19日
  • 馬運車から降りる馬たち
    馬運車から降りる馬たち
  • 別れを惜しむように集まった関係者
    別れを惜しむように集まった関係者
  • 地面には消毒用の石灰がまかれている
    地面には消毒用の石灰がまかれている
  • 舞台となる動物検疫所
    舞台となる動物検疫所

 日高軽種馬農業協同組合、胆振軽種馬農業協同組合、十勝軽種馬農業協同組合、日本軽種馬協会、ジャパン・スタッドブック・インターナショナルが中国の牧工商集団と交わした「日中馬産業協力交流会及び日中馬産業協力」の覚書に基づく馬取引がスタート。その第一弾として、昨年10月下旬のオータムセールで中国人実業家が購入した明け2歳馬10頭などを含む16頭が、中国へ向けて出発するために新冠町大狩部に新設された動物検疫所へ入厩した。

 まだ雪が残る検疫所には数名のスタッフが待機。足を滑らせないようにとおそるおそる馬運車から降りた馬たちは滑り止めと消毒を兼用するかのようにまかれた石灰のうえを歩いて用意された馬房へと向かった。昨年のオータムセールから約半年の世話を受け持った育成場スタッフが別れを惜しむように馬に付き添っていた。

 検疫は3月18日から8週間の予定でスタート。問題がなければ5月15日に神戸港から中国へむけて出発する予定。

 日本と中国との本格的な馬交流は、記録に残されているものでは2000年に日高町の民間牧場が中国国内に建設した牧場へと輸出したものがある。当時は商習慣の違いなどで頓挫したが、日本中央競馬会や国際交流協会(現ジャパン・スタッドブック・インターナショナル)では日本の競馬システムや人的交流など水面下で交流を継続し、中国の経済的発展に伴い2010年3月頃から本格的に復活。以来、官民一体となった取り組みのなかで、2010年のオータムセールでは中国人実業家が18頭を約4700万円で購入するまで交流が深まっていた。

 中国への安定的な馬供給は、長期間に及ぶ検疫や厳しい検査項目、あるいは商習慣の違いなどさまざまな課題があるが、経済的発展に伴い軽種馬の需要が高まっている中国は地理的利便性も手伝い、不況に悩む馬産地に新しい販路を確保するものとして期待が大きかった。その後、福島原発事故などにより厳しい状況になっていたが、オールジャパン体制での積極的な取り組み、プロモーション活動などにより、昨年12月9日に両者間で覚書を交わすまでに回復している。