2011年 馬産地十大ニュース
今年の馬産地での大きなニュースは、やはり3月11日の東日本大震災に関わる事でしょうか。2011年の終わりに、また、馬産地のライター、報道関係の方に静内にお集まり頂き1年を振り返りました。話題は広がりましたが、“馬産地”での十大ニュースとしてまとめました。
今年もまた多くの方に競走馬のふるさと案内所をご利用いただき有難うございました。
来年は被災地の方のために、また、皆様にとって良い年であるようにお祈りいたします。
競走馬のふるさと日高案内所一同
第一位 東日本大震災
被災馬が多かったのは、福島県南相馬地区を中心に岩手県から茨城県に至る海岸沿いの乗馬施設など。非確認だが100頭以上の馬が犠牲になった。功労馬に関しては南相馬地区の36頭は地元の「野馬追祭り」関係者の献身的な活動で保護され無事避難。(ハリーズコメット1頭が津波で死亡)
これらの多くが日高・胆振の生産馬。山元T、鉾田T、天栄HPなど馬産地の関係施設に甚大な被害は無かったが従業員のライフラインの確保などに馬産地関係者は奔走した。被災後、馬産地では早期に日高の個人牧場が被災馬の受入れたのを期に、日高町で36頭、ほか道内の功労場牧場などで被災馬を受入れ、関係機関では募金などの支援活動が始まった。放射能汚染の影響もあり被災馬たちの保護には今後も難題は残っている。
第二位 名門メジロ牧場が44年の歴史に終止符
オーナーブリーダーとして、その存在を示してきた名門牧場の撤退に牧場や競馬関係者の心に過る想いは少なくはない。
現在、北野オーナー一族は牧場経営から撤退したが、現場でかじ取りをしていた元岩崎専務が代表となり、旧スタッフ陣が生産業務を中心に“メジロ”の歴史を引き継いでいる。新牧場名は「レイクヴィラファーム」。メジロライアン、メジロパーマーも元気に余生を過ごしている。
第三位 ホッカイドウ競馬が売上計画額をクリアして永年の存続へステップアップ
昨年、複数年の存続が決まった同競馬は今年、単年度としての収支も黒字が予想される。来年は坂路調教コースも完成し、新馬のレベルアップや調整馬の有効活用等も期待される。同競馬関係者の弛まない努力と馬産地関係者の熱い応援が続いている。
第四位 ステイゴールド産駒が大ブレイク
有馬記念を豪快に決めた三冠馬オルフェーヴル(白老ファーム生産)の活躍など、今年は種牡馬ステイゴールドの仔が大ブレイク。今年、受胎条件で250万円だった同馬の種付料が来年は600万円に跳ね上がった。また、種付雌馬頭数も249頭(昨年175頭)。サイアーランキングトップのキングカメハメハの266頭に続いた。
第五位 ドバイワールドカップで日本馬がワンツーフィニッシュ
ヴィクトワールピサ(社台ファーム生産)、トランセンド(新冠 ノースヒルズマネジメント生産)が世界のひのき舞台で快挙。ノースヒルズマネジメントは、現在(株)ノースヒルズと改名しているオーナーブリーダーだ。他にアーネストリーなどの活躍で生産牧場ランキング4位、アーニングインデックス(AEI)は3.38(いずれも11月末現在)と1頭当たりの効率も良い活躍が目立った。
第六位 帝王シンボリルドルフ、サッカーボーイなどの名馬が逝く
今年亡くなったのは他に セイウンスカイ サニーブライアン ドクタースパート レッツゴーターキン ケイキロク など
第七位 今年の日本ダービー出走馬は全てサンデーサイレンスの孫
サンデーサイレンスの血統の猛威はここまで来た。今年、G1レースの出走表を見る度に日高の生産牧場からはため息が漏れていた。
しかし、将来の日本の競走馬の反映の為にも新しい血統の流入は不可欠。
来年度、新種牡馬として予定されるのは ワークフォース カジノドライヴ キャプテントゥーレ ドリームジャーニー ダノンシャンティ(以上社台スタリオンS)アサクサキングス アンライバルド(以上ブリーダーズS.S.)オウケンマジック バンブーエール(以上イーストS)サンライズバッカス(レックスS)など
第八位 静内農業高校生産馬のゴーゴーヒュウガ、JRAで初勝利
公立高校で唯一競走馬の生産を取り入れている同校は、話題をまいたユメロマン以来のJRA初勝利を得た。実家の牧場を継いだり、競走馬の生産関係に入る多くの卒業生たちの自信となった。
第九位 セレクトセール、予想を上回る盛況
東日本大震災の影響などで、競走馬の販売動向が懸念されたが、日本競走馬協会主催のセレクトセールは91億円の総売上を獲得して最好調時に迫る勢いとなった。当歳も44億円を売上げ当歳市場の活路に明るい陽射しが見えた。また北海道市場も善戦して全国の馬の取引額は158億円を超える。
第十位 ディープインパクト産駒 最速でJRA通算100勝をマーク
現在、現役の産駒は新種牡馬入りした2007年(種付頭数206頭)、2008年(同215頭)、2009年(同171頭)に種付けされた3世代。良血の交配繁殖牝馬と多くの種付頭数、それに稀代の名馬であれば結果も予想されるが、やはり凄いと多くのの生産者は頷く。
家族経営の牧場にとって1,000万円という種付料(2012年度)は手の届かぬところ。だが、強い競走馬を作るための講演会は各会場が満席になるように熱心な生産者はあらゆるところに努力し勉強している。近い将来に明るい話題が出ることを期したい。