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荒尾競馬場で武豊騎手のトークショー開催

  • 2011年12月06日
  • 武豊騎手のトークショー
    武豊騎手のトークショー
  • レディースジョッキーズシリーズ出場騎手と武豊騎手
    レディースジョッキーズシリーズ出場騎手と武豊騎手
  • 荒尾競馬場には2018人が来場した
    荒尾競馬場には2018人が来場した
  • この日の重賞レース、九州産馬限定・たんぽぽ賞はテイエムハエンカゼが優勝した
    この日の重賞レース、九州産馬限定・たんぽぽ賞はテイエムハエンカゼが優勝した
  • 荒尾競馬場は2011年12月23日をもって廃止となる
    荒尾競馬場は2011年12月23日をもって廃止となる

 12月1日、熊本県の荒尾競馬場で武豊騎手(JRA)のトークショーが開催された。荒尾競馬場は今年、83年の歴史に幕を閉じ、廃止が決まっている。このイベントは武豊騎手が自身の付き人を通じて知人でもある杉村一樹騎手(荒尾競馬所属)へ、“最後に力になれれば”という思いから実現に至った。

 武豊騎手は当日のJRA交流戦「シーサイドカップ」でゴールドユソネット(牝3歳 栗東・森厩舎)とコンビを組み、自身3度目となる荒尾競馬での騎乗を果たした後(レースは2着)、午後3時過ぎからスタンド前でトークショーを行った。

 司会を務めたのは元高崎の女性騎手の赤見千尋さんで、バレットの吉井愼一さんも加わって話を進めた。武豊騎手は荒尾競馬について、「中央の競馬場と比べてファンとの距離が近いですね。こんなに海が近い競馬場も他にないです。廃止と聞いて、何とか年内に来たいと思いました。今日負けてしまったのは残念でしたが、荒尾のコースは乗りやすいです。沢山のお客さんに来ていただいて嬉しく思っています。僕自身も頑張っていきますので、皆さんも競馬を応援してください。」と、話した。

 トークショー終了後はあちこちからファンの“ありがとう”の声が飛び、武豊騎手は親切にサイン、握手に応じていた。日本を代表するジョッキーの、ステッキ一つで全国の競馬場を駆けめぐる姿は相変わらずで、少なからず暗い雰囲気にあった競馬場は、かつての明るさを取り戻すような盛り上がりを見せた。この日の来場者は通常の平日開催をはるかに上回る2,018人を記録した。

 この日は女性騎手によるレース「レディースジョッキーズシリーズ(LJS)」第3戦、第4戦も行われ、全国から6名の女性騎手がしのぎを削った。表彰式では武豊騎手がプレゼンターを務め、シリーズにも花を添えた。

 LJS出場騎手の一人であり、荒尾競馬所属の岩永千明騎手はこの一日を終えてこう話した。「大勢のお客さんに入ってもらって嬉しい気持ちはありましたが、それでも廃止になってしまうので…逆に悲しくなりました。地元の騎手、厩舎のみんなとはこれから離ればなれになるし、廃止が決まってからはみんな辛く、寂しい思いでいっぱいです。最後の日は、自分は泣くと思います。」と、やりきれない胸中を明かす。岩永騎手は佐賀競馬への移籍が決まった。岩永騎手のように荒尾競馬所属の騎手は何人かが他地区へ移籍する予定で、他の騎手は北海道の牧場へ転職や、競馬の世界と離れる騎手もいるという。

 岩永騎手は、「佐賀競馬ではまたゼロからのスタートになるので不安の方が大きいですが、全国の競馬ファンの皆さんに佐賀競馬を注目してもらえるように頑張りたいです。夢はJRAの芝のレースに走ることです。強い九州産馬と巡り合って、是非挑戦したいと思っています。」と、逆風に負けまいと前を向く。

 荒尾競馬場は残る開催は3日間で、12月9日(金)、12月16日(金)、12月23日(祝・金)を残すのみ。現存する地方競馬では最も古い競馬場はまもなく最後の日を迎える。