「馬の繁殖管理について」講演会が行われる
11月30日夜、新冠町の新冠レ・コード館町民ホールにおいて、社団法人日本軽種馬協会(JBBA)主催による「馬の繁殖管理について」の講演会が行われた。
講演会はJBBAの軽種馬経営高度化指導研修事業の一環で、日本ウマ科学会臨床獣医師ワーキンググループが共催し、日高獣医師会、胆振獣医師会、JRA日高育成牧場も後援。講師にはルード&リドル馬診療所(米ケンタッキー州)のミッシェル・ルブランク先生を招き、「私のウマが受胎しないのは何故?-Why is my mare infertile?-」を演題に講演が行われた。
講師のルブランク先生は馬臨床繁殖学の世界的権威。1980年から2002年までフロリダ大学で馬の繁殖学の教育者、研究者として活躍し、数え切れないほどの研究成果を発表してきた。その業績が認められ2000年には全米繁殖学会から「アワード・オブ・ザ2000」を受賞。世界的に繁殖牝馬の受胎率が飛躍的に向上したのも、ルブランク先生の功績によるところが大きいという。現在はルード&リドル馬診療所の馬繁殖研究センターで馬の繁殖臨床で陣頭指揮を取る傍ら、繁殖シーズン以外はミシシッピー大学で教鞭をとるほか、世界各国で講演を行っている。
ルブランク先生は一般的な不妊の原因は、ホルモンの異常、生理的な浄化作用、子宮の退行性変化と説明。ホルモン的な要因は、「競走から引退した牝馬によく見られ、新たな環境からくるストレス、疲労によるストレス、季節的なもの、病気や子宮の感染」などを挙げた。
また、実際にルブランク先生が診断した繁殖牝馬の診断例と治療方法を具体的にレクチャー。最後に日頃から繁殖牝馬の健康状態、分娩や繁殖経歴、過去に発症したすべての疾患の記録などを取ることが重要と説き「その記録が獣医師に相談する際に役に立つ」とした。
講演会には軽種馬関係者、獣医師、JBBA生産育成技術者研修の第33期生など約200名が出席。講演後は繁殖臨床学のエキスパートの見解を聞こうと、終了予定時間を越えても質問が続出するほどだった。