馬産地ニュース

吉田照哉氏の講演会が行われる

  • 2011年11月28日
  • 全国から約80名の軽種馬関係者が出席した講演会
    全国から約80名の軽種馬関係者が出席した講演会
  • 時おり笑顔を見せながら講演する吉田照哉社台ファーム代表
    時おり笑顔を見せながら講演する吉田照哉社台ファーム代表
  • 講演に先立ち挨拶する三好直樹日本軽種馬青年部連絡協議会会長
    講演に先立ち挨拶する三好直樹日本軽種馬青年部連絡協議会会長
  • トップブリーダーの話を熱心に聞き入る出席者
    トップブリーダーの話を熱心に聞き入る出席者

 11月24日夜、札幌市中央区の札幌全日空ホテルにおいて、社台ファーム(千歳市)代表の吉田照哉氏による「これからの生産界を生き抜くために」と題した講演会が行われた。

 この講演会は日本軽種馬青年部連絡協議会(三好直樹会長)の主催。同協議会の国内研修事業として行われた。

 三好会長は「今回は日本のトップブリーダーであり、馬主でもある社台ファーム代表の吉田照哉様から、大変貴重なお話をしていただくことになりました。これからの生産活動を行って行くうえでのヒントや心構えになれば幸いです」と挨拶。講演会には全国から集まった青年部員のほか、軽種馬関係者など約80名が出席し、道新スポーツの山田康文氏が、青年部から事前に集めた質問に沿って進行された。

 吉田氏は1947年生まれ。幼少の頃から牧場の仕事を学び、慶応義塾大学卒業後の1970年に父吉田善哉氏(故人)が経営する社台ファームに入社し、本格的に馬づくりに携わった。1972年にノーザンテーストを購入したのを皮切りに、海外から数々の種牡馬を輸入。そのなかでも1991年に導入したサンデーサイレンスは国内で数々の優秀な産駒を輩出し、社台ファームを国内一の生産牧場に押し上げた。

 現在、吉田氏は社台ファーム代表のほか、社台コーポレーション代表取締役、社団法人日本競走馬協会副会長、社団法人日本軽種馬協会理事を兼任している。また、馬主としても国内外でG1勝ち馬を所有し、今年の凱旋門賞馬デインドリームの共同オーナーとしても知られている。

 吉田氏はノーザンテースト購入時のエピソード、若い頃の経験談などを披露。現在、リーディング上位の種牡馬のほとんどが、社台スタリオンステーションの関係馬で占められている点については「ノーザンテーストが当たったのは運が良かった。人生の1/3の運を使い果たしたと思った。それでも、また、次の馬が出るまで買い続けた結果、サンデーサイレンスやトニービンにつながった」と話し、種牡馬を成功させるには「種牡馬は買って完結ではない。成功させるためには良い繁殖を用意するなどの努力をしないと生き残れない。産駒が走れば人気が出るので、それまでのプロモーションが大事」と訴えた。

 「これからの生産界を生き抜くために必要なもの」との問いには、故善哉氏が若い頃の吉田氏に話した言葉を例に出し「答えになってないかもしれませんが、父はいつ牧場が潰れるのかと心配しながら牧場を続けてきました。自分もそういう思いをしながらこの年(64歳)になった。いまのままで大丈夫と思っている人はいない。皆さんも私と同じ年齢になった頃、そのように思うのでは」とエールを送った。

 講演会は吉田氏の軽妙なトーク、山田氏の軽快な進行のもと、終始和やかな雰囲気で終了。最後に吉田氏は「今日は皆さんの明るい顔をみることができ、逆に元気をもらえました」と笑顔で締めくくった。