馬産地ニュース

胆振地区生産育成技術講座2011が行われる

  • 2011年11月24日
  • 250名を超える軽種馬関係者が出席した講習会
    250名を超える軽種馬関係者が出席した講習会
  • 開会に先立ち挨拶する上水厚胆振軽種馬農業協同組合青年部副部長
    開会に先立ち挨拶する上水厚胆振軽種馬農業協同組合青年部副部長
  • 昨年に続き2年連続で講師を務めた頃末憲治JRA日高育成牧場生産育成研究室専門役
    昨年に続き2年連続で講師を務めた頃末憲治JRA日高育成牧場生産育成研究室専門役
  • 胆振・日高から駆けつけた講習会出席者
    胆振・日高から駆けつけた講習会出席者

 11月21日夜、苫小牧市の苫小牧グランドホテルニュー王子において、IBBA胆振軽種馬農業協同組合と同青年部の共催による講習会、「胆振地区生産育成技術講座2011」が行われた。

 講習会の演題は(1)「仔馬の発育について」~なぜ繋(つなぎ)は起つのか?~、(2)「競走馬の育成調教について」~馬が走行しやすいバランスについて~、の2つ。講師は昨年の講習会に続き、JRA日高育成牧場生産育成研究室専門役の頃末憲治氏が招かれた。

 講習会には胆振、日高から軽種馬関係者、JBBA日本軽種馬協会生産育成技術者研修第33期生など約250名が出席。満席となった出席者を前に上水厚青年部副部長は「頃末先生の1年前の講演が大盛況でした。青年部からも『先生のお話をもう一度聞きたい』という声が多かったことから、再度頃末先生をお招きしました」と挨拶した。

 仔馬の発育について、頃末氏は「各部位の成長速度と成長バランス」「肢勢の変化」「浅屈腱、深屈腱、繋靭帯の成長」「クラブフット」「近位種子骨骨折」などに関して説明。仔馬の繋が起つ理由としては「馬は草食動物、自然界では肉食動物に襲われてしまう。仔馬は繋がたってないと疾走できない」などと持論を展開し「野生動物から逃げるために繋ぎを起てて(球節を固定)、効率よくスピードを上げているのでは」と仮説を立てた。

 競走馬の育成調教のテーマでは、世界最速の男ウサイン・ボルトの走法を例に解説。「左右バランスの良い走行フォームを体得してシンプルな軸を形成している」とし、理想の走行は重心の等速直線運動であるとした。それらの説明をもとに「馬はバランスを維持したいだけ」で「騎乗者が『ニュートラル』に騎乗することが、馬を『ニュートラル』な走行へと導く」と訴えた。

 講演ではビデオカメラで撮影する人、頻繁にメモを取る人など、頃末氏の話を熱心に聴講。予定時間を大幅にオーバーするほど質問が続き、出席者の強い馬づくりへの情熱が垣間見えた講習会となった。