胆振地区生産育成技術講座2011が行われる
11月21日夜、苫小牧市の苫小牧グランドホテルニュー王子において、IBBA胆振軽種馬農業協同組合と同青年部の共催による講習会、「胆振地区生産育成技術講座2011」が行われた。
講習会の演題は(1)「仔馬の発育について」~なぜ繋(つなぎ)は起つのか?~、(2)「競走馬の育成調教について」~馬が走行しやすいバランスについて~、の2つ。講師は昨年の講習会に続き、JRA日高育成牧場生産育成研究室専門役の頃末憲治氏が招かれた。
講習会には胆振、日高から軽種馬関係者、JBBA日本軽種馬協会生産育成技術者研修第33期生など約250名が出席。満席となった出席者を前に上水厚青年部副部長は「頃末先生の1年前の講演が大盛況でした。青年部からも『先生のお話をもう一度聞きたい』という声が多かったことから、再度頃末先生をお招きしました」と挨拶した。
仔馬の発育について、頃末氏は「各部位の成長速度と成長バランス」「肢勢の変化」「浅屈腱、深屈腱、繋靭帯の成長」「クラブフット」「近位種子骨骨折」などに関して説明。仔馬の繋が起つ理由としては「馬は草食動物、自然界では肉食動物に襲われてしまう。仔馬は繋がたってないと疾走できない」などと持論を展開し「野生動物から逃げるために繋ぎを起てて(球節を固定)、効率よくスピードを上げているのでは」と仮説を立てた。
競走馬の育成調教のテーマでは、世界最速の男ウサイン・ボルトの走法を例に解説。「左右バランスの良い走行フォームを体得してシンプルな軸を形成している」とし、理想の走行は重心の等速直線運動であるとした。それらの説明をもとに「馬はバランスを維持したいだけ」で「騎乗者が『ニュートラル』に騎乗することが、馬を『ニュートラル』な走行へと導く」と訴えた。
講演ではビデオカメラで撮影する人、頻繁にメモを取る人など、頃末氏の話を熱心に聴講。予定時間を大幅にオーバーするほど質問が続き、出席者の強い馬づくりへの情熱が垣間見えた講習会となった。