札幌馬主協会の馬産地懇談会が行われる
11月16日夜、新ひだか町の静内ウエリントンホテルにおいて、社団法人札幌馬主協会(岩本允会長)主催による「第8回馬産地懇談会」が開催された。
懇談会は同馬主協会の会員のほとんどがオーナーブリーダーであることから、会員親睦のため行われている。当日は海外競馬解説者の合田直弘氏を招いての講演会、立食懇談会の2部構成で開催。会場は約100名の会員や軽種馬生産者で埋め尽くされた。
懇談会では主催者を代表し岩本会長が挨拶。「当協会は馬主と生産者が一体となって競馬の支援に努力してまいりました。日本の競走馬の80%は会員の方々が提供してます。日本の競馬が底上げできたのは会員の努力によるもの。これからも先人の築いた足跡を受け継いで競馬を支えていただきたい。馬産地懇談会は他の馬主協会にはない事業。これからも継続していきたいです」と会員の努力を讃えた。
「世界の競走馬市場における新トレンド」をテーマに講演した合田氏は、近2年の欧米の生産頭数について言及。資料を示し「日本だけでなく、北米もイギリス、アイルランドも大幅に減少している」と実情を説明した。その理由としてギリシャ危機、イタリア危機など世界の経済情勢を上げ、「サラブレッド生産はいつの時代も一般景気に左右される」とした。
続いて合田氏は、今年のサラブレッド市場の結果を分析。苦戦が予想されたサラトガで行われた8月セールでは、すべての指標が前年を上回ったことには「関係者もびっくり仰天しました」と話し、その要因は「ドル安もあり海外バイヤーが積極的に参加した結果。つまり外資が支えた」と解説した。
さらに今年の欧米サラブレッド市場にはオーストラリアのほか、カタール、カザフスタンの富豪が高額馬を積極的に落札したことを受け、今後は新興国にも目を向ける必要性を訴えた。
また、アメリカで現在注目されている種牡馬については、バーナーディニ、メダグリアドーロ、ウォーフロントを挙げ、ヨーロッパでは「ガリレオが再ブレイクしたほか、ガリレオ産駒で1歳がファーストクロップのニューアプローチ、レイヴンズパスが注目されている」とトレンドを示した。
講演後の立食懇談会では秋谷寿之会員サービス委員が「いままでで一番多くの方々が集まっていただき、サービス委員冥利に尽きる結果と一安心しています。今後も会員相互の親交を深めてほしいです」と挨拶。下河辺俊行副会長が乾杯の音頭をとり「今日の講演をこれからの馬づくりに役立てていきたいと思います。大変な世の中ですが、皆さんの生産馬がたくさん世界のG1に勝てるよう頑張っていきましょう」とグラスを掲げた。祝宴はアルコールも手伝って、終始和やかなムードで盛り上がっていた。