北海道2歳優駿(Jpn3)の前哨戦、サンライズCはイッシンドウタイが優勝
10月12日、門別競馬場では第11回サンライズカップ(H3)[ステイゴールド賞]が行われた。この競走は2歳牡馬3冠戦線の第2弾で、距離はダート1700m。牝馬1頭を含む12頭で争われた。
人気の中心はイノセントカップの覇者ゴールドメダルで、底を見せていない魅力とレースセンスが高く評価された。続いて唯一の4勝馬イッシンドウタイ、3連勝中のコンサートボーイ産駒ピエールサンダーらも重い印を集めた。他にもラブミーチャンの半弟ダブルスター、大差勝ちデビューの印象を強く残すグッドタイガー、中距離戦に転じて本領発揮したハーツクライ産駒テイクザクラウンなど、素質あふれる2歳馬が顔を揃えた。優勝馬主の副賞が今最も注目を集めている種牡馬ステイゴールドの種付け権利とあって、早くから照準を合わせてきた陣営も多かったに違いない。
枠入りに時間がかかったわけではないが、スタートはバラつき、イッシンドウタイ、スプリングオー、テイクザクラウンあたりが出遅れた。ハナを奪ったのは快速ダブルスターで、イクシカナイダロウも名前のごとく先行、グッドタイガー、ゴールドメダルらも前々の位置へ。後方にテイクザクラウン、ピエールサンダーが控え、先頭から最後方待機のイッシンドウタイまではおよそ10馬身圏内に収まった。3、4コーナーを回ってダブルスターとグッドタイガーの栗毛2頭が快調に飛ばし、1番人気のゴールドメダルがステッキを入れながら迫っていく。直線に入ると逃げるダブルスターの脚色が鈍り、ゴールドメダルが先頭へ。一旦はゴールドメダルが単独で抜け出すも、ラチ沿いぴったり回って追撃してきたイッシンドウタイがするすると忍び寄り、直線半ばで馬体を合わせる。ゴール前50mは2頭の激しい叩き合いとなり、最後はイッシンドウタイが交わしてゴールとなった。ゴールドメダルはハナ差の2着に敗れ、3着には末脚勝負に賭けた最低人気スプリングオーが入り、3連単は10万オーバーの波乱となった。重馬場の勝ち時計は1分47秒8。
騎乗した桑村真明騎手は表彰式のインタビューで、「スタートで出遅れたので、道中はロスなく回ることを考えました。今日は馬の力で勝たせてもらえましたね。直線でもしっかりとハミをとって伸びてくれました。今年の門別開催も少なくなってきましたが、1つでも多く勝てるように頑張りますので、応援宜しくお願いします。」と、答えた。桑村騎手はエトワール賞(H3)に続き、今年重賞2勝目。先月28日には門別競馬場で1日6勝の固め打ちを決め、リーディングは現在、第2位につけている。
イッシンドウタイの生産は新ひだか町静内のグランド牧場で、同馬の馬主も兼ねている。この日、門別競馬場に駆けつけた同牧場の鈴木さんは、「出遅れたのでひやひやしましたが、優勝できて良かったです。牧場時代はすこぶる順調に育ちました。父もグランド牧場生産馬のスズカマンボで、スズカマンボ産駒の牧場生産馬としては初の重賞勝ちとなり、記念のレースとなりました。次走予定の北海道2歳優駿(Jpn3)でも期待しています。」と、喜びを語った。
イッシンドウタイの母ラストヒットはラブミーチャンの祖母にあたり、牧場ではサウスヴィグラス×ラストヒットという極めてラブミーチャンに近い配合の1歳、当歳馬が誕生している。「今年生まれた母ラストヒットの牡馬は柔らかい動きが目立っていますね。1歳の牝馬はラブミーチャンに近い体型で、こちらも楽しみな馬です。」と、鈴木さんは紹介してくれた。牧場が誇る実績の血統は更に進化を遂げていきそうだ。
メキメキと力をつけ、ついに重賞制覇を果たしたイッシンドウタイ。豊富な勝利数とハイレベルの実戦経験を自信に、来る交流重賞でも好勝負できる一頭だろう。