馬産地ニュース

第1回幹細胞治療および再生医療セミナーが開催される

  • 2011年10月07日
  • 約50人の軽種馬関係者が出席した第1回セミナー
    約50人の軽種馬関係者が出席した第1回セミナー
  • 講師を務めた河田憲カワタエクワインプラクティス代表
    講師を務めた河田憲カワタエクワインプラクティス代表
  • 屈腱炎の幹細胞治療例を説明する河田憲カワタエクワインプラクティス代表
    屈腱炎の幹細胞治療例を説明する河田憲カワタエクワインプラクティス代表

  10月6日夜、新ひだか町の静内ウエリントンホテルにおいて、プロテクタスヘルス社(本社・愛国ダブリン)が主催する「第1回幹細胞治療および再生医療セミナー」が開催された。

  プロテクタスヘルス社は2005年に愛国の首都ダブリンに設立。欧州全土で“馬のへその緒の血(=臍帯血)の冷凍保存”を主な業務としている。臍帯血には幹細胞など多くの細胞が含まれ、再生医療に大きな可能性を持っていることから近年、欧州では臍帯血を保存する臍帯血バンクというシステムが普及。日本の生産者にも臍帯血バンクや幹細胞治療を理解してもらおうとセミナーを10月から3回開催することになった。

  第1回のセミナーの内容は「再生医療および幹細胞について」と「屈腱炎の幹細胞治療の実例」。講師は(株)かわたカワタエクワインプラクティスの河田憲代表が務めた。河田代表は滋賀県栗東市と日高町で開業する獣医師。幹細胞を用いた屈腱炎治療やレポジトリー検査など、主に運動器の疾患を専門としている。

  再生医療とは、損傷を受けた生体機能を細胞等を用いて復元させる医療。幹細胞は、色々な細胞になることができる細胞、自分と同じ細胞を作ることができる細胞で、幹細胞を用いた再生医療は、ヒトでは筋ジストロフィー、狭心症、白血病、肝機能障害、糖尿病、パーキンソン病、脊髄損傷、角膜疾患など多くの臨床例があり、馬では屈腱炎や繋靭帯炎、骨折、ボーンシスト、蹄葉炎などに用いられている。日本ではカネヒキリが幹細胞移植手術を行い、屈腱炎から奇跡の復活を果たしたことで知られている。

  河田獣医師は自分の診療所で行った屈腱炎の幹細胞治療例をスライドを交えて説明。臀部から脂肪を採取し、酵素処理・遠心分離・洗浄後、間葉系幹細胞を分離・培養したものを屈腱炎の患部に投与した過程を見せ、さまざまな術後の過程を解説した。その中で河田獣医師は「屈腱炎になるべく肢勢をもった馬が屈腱炎になったら幹細胞治療をしても治らないが、ならなくても良い馬が何らかの要因で屈腱炎になった場合は適切な処置により回復できる」と見解を示し「まだ、屈腱炎の幹細胞治療は始まったばかり。これからみんなで育てていって何年か先に屈腱炎の恐怖を和らげていけたらいいと思う。それが日本の競馬の発展に繋がっていく」と呼びかけた。

  今後のセミナーは下記の通り。

第2回:11月18日(金)

「世界で行われている幹細胞治療の症例」

第3回:12月7日(水)

「臍帯血保存の実際」

時間:18:30~19:30(18:00開場)

場所:新ひだか町・静内ウエリントンホテル

*セミナーに関する詳細はカワタエクワインプラクティス
  http://kawata-ep.com/
 臍帯血バンクに関する詳細はプロテクタスヘルス社
  http://protectashealth.com/まで。