静内農業高校生産馬「杏星」がサマーセールに上場
全国で唯一競走馬の生産を行っている新ひだか町の北海道静内農業高等学校の生産馬「杏星(あんず)」(牝1歳 父フォーティナイナーズサン、母ミシェロガール)が、9月5日のサマーセール・サラブレッド1歳に上場した。
「杏星(あんず)」は2010年3月29日生まれの牝馬で、母馬の種付けから出産、上場に向けての中期育成に至るまで、同校の生徒が手がけた。
暗雲が立ち込める中、午前の比較展示を無事終え、せり開始から約2時間後、ヒップナンバー「137」を付けた杏星は登場した。生徒たちの期待と不安が交錯する中、求める声はすぐにかかった。結果は90万円(税抜)で千葉県の宮田努氏が落札し、見事生徒達は杏星の未来を切り拓いた。
上場後は記念撮影を行い、その後はNHKや新聞社の取材が押し寄せた。上場を見守っていた同校の北村善春校長は晴れやかな表情を浮かべ、「生徒たちが丹精込めて育てた生産馬が無事に売れて、感無量の気持ちです。」と、生徒と杏星を追いかけていた。
午前の比較展示で杏星の引き手を取ったのは茂木啓吾さん(3年生)。これまでせりの現場は見てきたが、実際に引き手を託されるのは初めてのこと。胸を高鳴らせて上場日を迎えたという。「イメージ通りいかない部分もありましたが、この馬のバネの良さを伝えられるように意識して馬を引きました。もう少し気持ちに余裕を持って、ソフトに接してあげられたら…と反省点もありますが、良い勉強になりました。」と、振り返った。
大勢の購買者がいるせり会場内へは西川信也さん(3年生)が導いた。緊張感が漂う中、馬と呼吸を合わせ、鑑定人の前でしっかりとポーズを作った。「せり会場でも杏星はリラックスしていたし、落ち着いて臨めました。競り上がってくれた時は本当に嬉しかったです。先輩たちの生産馬に続き、杏星も1勝できるように願っています。」と、大役を果たした感想を話してくれた。登場の際は同校伝統の“宜しくお願いします”の元気なかけ声を決め、存在感をアピール。せり会場内には同校の22名の生徒が駆けつけ、共に喜びを分かち合った。
同校生産馬ではこれまで4,500万円以上を稼ぎ出したユメロマンや、この夏JRAで初勝利を挙げたゴーゴーヒュウガを送り出しており、杏星も先輩馬に続いて欲しいところ。フレッシュな力と情熱を一身に受け、立派な競走馬に成長して欲しい。