リリーCはサムライハート産駒レイモニがレコード勝ち
8月25日、門別競馬場ではHTB杯第8回リリーカップ(H3)[フジキセキ賞]が行われた。2歳牝馬による重賞で、距離はダ1000m。アテーナ、ハンドスターの2頭が出走を取り消し、11頭で争われた。
人気を集めたのは好時計でデビュー勝ちを決めたロクイチスマイル。メンバー中最も大きい468kgの馬体重で、キャリア一戦の身ながら力強い脚捌きを示していた。対するは唯一のオープン勝ち馬リカチャンス。2走前の栄冠賞でも3番人気に推された素質馬で、前走牡馬を下しての参戦となる。他にも、ハイレベルのオープン戦で健闘を続けているレイモニ、前走5馬身差で認定戦を逃げ切ったフレンズアートなどが有力視された。
レースはロクイチスマイルがハナを奪い、リカチャンスが2番手でマークする展開。フレンズアートが3番手で追いかけ、レイモニは中団待機、後方に置かれた1、2頭を除き、先頭から中団まではそれほど差がなく直線を迎える。5、6頭横に広がっての最後の攻防は、内で粘るロクイチスマイル、リカチャンスを外からレイモニが鮮やかに交わしていく。直線半ばで勝負をつけ、2着に3馬身差をつけてフィニッシュした。不良馬場ではあったが、勝ち時計は59秒5のレコード。2着には伏兵コテキタイが入り、角川厩舎のワン・ツー。3着はリカチャンスがしぶとく残り、未知の魅力が買われたロクイチスマイルは5着に敗れた。
騎乗した井上俊彦騎手は表彰式のインタビューで、「外枠だったので、なるべく内に入れたかった。4コーナーでいいところが空いたし、手応えもあったので、いけると思いました。普段はやんちゃ娘ですが、乗りやすい馬ですよ。これからも上のレースで勝って、ホッカイドウ競馬に名が残る馬になって欲しいです。」と、語った。井上騎手は赤レンガ記念(リフレックス)に続いて今季重賞2勝目。管理する角川秀樹調教師はタガタメ、アンペア、プリモエナジーに続いて、リリーカップ4勝目を飾った。
生産は日高町のオリオンファームで馬主も兼ねている。門別競馬場でレースを見守っていた同牧場の三浦場長は、「牧場開業5年目で重賞初勝利となり、嬉しく思っています。牧場にいた頃のレイモニは毛ヅヤの良さが目立つ馬で、健康に育ちました。」と、語ってくれた。同牧場の所有馬としてはこれまでオノユウ(栄冠賞、フローラルカップ、エーデルワイス賞(Jpn3))、アンペア(リリーカップ、エーデルワイス賞(Jpn3))が活躍しており、今度はオーナーブリーディングホースとして強力牝馬を送り込んだ。
レイモニの父は新種牡馬サムライハートで、幸先良く重賞タイトルをプレゼントした。母の父はキングヘイローで、母ドリームパラソルは2歳時に芝のマイル戦で勝利している。スピード馬場でのレコード勝ちと、芝適性のありそうな血統背景だけに、舞台を変えても飛躍を感じさせる牝馬だ。実績十分のチームが送る最新作は次にどこでヒットを打つのか、秋の興味がまた一つ増えた。