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3歳最後の一冠、王冠賞はビューティーリヨが牡馬を撃破

  • 2011年08月19日
  • ビューティーリヨの末脚炸裂
    ビューティーリヨの末脚炸裂
  • 引きあげてくる人馬
    引きあげてくる人馬
  • パドックでの様子
    パドックでの様子
  • 喜びの口取り
    喜びの口取り
  • 小野望調教師は重賞初制覇となった
    小野望調教師は重賞初制覇となった

  8月18日、門別競馬場では3歳三冠ロードの最終戦、第32回王冠賞(H2)[スペシャルウィーク賞]が行われた。舞台はダート2600mの長丁場。夕方から降りだした雨の影響で、馬場コンディションは脚抜きの良い不良で行われた。

  残念ながら今年の北海優駿馬、北斗盃馬はJRA・他地区遠征のために姿はなかったが、道営クラシックで上位に入った馬が多数顔を揃えた。中でも印が集まったのは北海優駿で鼻差2着に敗れたスタープロフィット。前走は盛岡に遠征して重賞初制覇を果たし、最後の一冠獲りへ地元に帰ってきた。北海優駿組は他に3、4、5、6、8着馬が参戦し、巻き返しを期す陣営がこぞってラストチャンスに賭ける。他にも、昨年の道営3歳三冠牝馬クラキンコの半弟クラヤマトオーや、前走ノースクイーンカップで古馬相手に4着に健闘した牝馬ビューティーリヨなど、魅力あふれる3歳馬が揃った。

  レースは1番人気のスタープロフィットがハナを切り、クラヤマトオーと併走するかたちでレースを引っ張っていく。モリデンクーバーが3番手で折り合い、エルドラゴン、サントメジャーと続く。2周目に入るとエルドラゴンが抑えきれない手応えでトップ集団に並びかけ、モリデンクーバー、サントメジャーも連れてポジションを上げる。各馬が動き出したところで脚色が鈍ったのが断然人気のスタープロフィット。残り800mのところでよもや一杯になり、場内が騒然となる中、エルドラゴン、モリデンクーバー、サントメジャーの3頭が火花を散らして直線へ。食い下がるライバルを振り切ってモリデンクーバーが先頭に立つが、後方で脚を溜めていたビューティーリヨがグイグイ差を詰め、最後は2頭の争いに。長丁場ながら接戦のゴール前、見事制したのは岩橋勇二騎手の渾身のムチに応えたビューティーリヨだった。勝ち時計は2分47秒7のレコード。2着は首差でモリデンクーバー、離れた3着争いは3頭が僅差で入線したが、名手・宮崎光行騎手操るサントメジャーが鼻差残した。

  久々の重賞制覇となった岩橋勇二騎手はレース後の表彰式で、「スタートは上手く出てくれましたね。道中は折り合いに専念して自分のペースでレースを進めることができました。内も外も関係ない馬場状態だったので、外を回らないように気を付けて最後まで必死に追いました。優勝できて最高の気分です。これからも応援宜しくお願いします。」と、はつらつとした表情で語った。管理する小野望調教師は開業以来初の重賞制覇となった。

  ビューティーリヨの生産は新ひだか町三石の中橋正さん。レース後に喜びの声を伺うと、「重賞を勝てて嬉しいです。自ら調教を手がけてくれている小野望調教師、厩舎の皆さんのおかげですね。牧場にいた頃はゴールドヘイロー産駒らしく立派なトモをしていて、順調に育ちました。これからもケガなく走ってきて欲しいと思います。」と、伝えてくれた。アルカング産駒の母は現役時代未勝利に終わったが、母の半兄にはJRAで7勝を挙げたタガノサイレンス(父サンデーサイレンス)がおり、サンデーサイレンス系種牡馬との掛け合わせで再び一族から活躍馬が現れた。

  キャリアを重ねてメキメキと力をつけ、ついに重賞制覇を叶えたビューティーリヨ。戦前は8番人気という低評価であったが、牡馬相手のレコード勝ちは容易に出来る芸当ではない。クラキンコ、ショウリダバンザイに対抗する強力牝馬として、更なる成長に期待したい一頭だ。