ノースクイーンカップはショウリダバンザイが2連覇
7月28日、門別競馬場では牝馬による重賞、第10回ノースクイーンカップ(H2)[アドマイヤムーン賞]が行われた。この競走は世代別牝馬重賞シリーズ「GRANDAME-JAPAN」(古馬シーズン)の第3戦目にあたり、上位馬にはシリーズポイントが付与される。
“夏は牝馬”という格言を思い起こさせるように、出走14頭はどの馬も好気配を感じさせた。中でも注目は道営3冠牝馬クラキンコ。古馬になっても更にパワーアップし、目下重賞2連勝中で、単勝は1.2倍の支持を集めた。対抗勢力には門別4戦4連対のモンピュアが名古屋の岡部誠騎手を配して挑み、昨年の覇者ショウリダバンザイ、オープンで牡馬相手に差のないレースを見せているマチカネオイカゼの林和弘厩舎勢らがバチバチと火花を散らした。
にわかに発生した霧が競馬場を包み込み始めた20時35分、レースはスタート。短距離重賞馬プリティゴールドが積極果敢にハナに立ち、淀みない流れを作っていく。先行集団にはマチカネオイカゼ、中団より前の位置にクラキンコが続き、後方でショウリダバンザイ、モンピュアが脚を溜める。勝負所に入ってクラキンコが外目からジワジワと進出すると、ショウリダバンザイが背後へと迫り直線へ。
ゴールまで残り100m、横一杯に広がった中からプリティゴールドがラチ沿いで逃げ粘るも、馬場の真ん中を通ってクラキンコが伸び、更にその外からショウリダバンザイが強襲する。最後はショウリダバンザイの脚が勝り、服部茂史騎手が高々と左手を上げた。内、中、外を通った3頭の激闘にスタンドからは霧を打ち消さんばかりの大歓声。女王クラキンコは2着に敗れ、距離延長に不安が囁かれたプリティゴールドが3着に踏んばった。ダート1800mの勝ち時計は1分56秒2。4歳牝馬による真っ向勝負は実に見応えがあった。
騎乗した服部茂史騎手は表彰式のインタビューで、「道中はクラキンコをずっとマークするかたちでレースを進めました。この馬の力を信じて大外からよく伸びてくれましたね。連覇している縁起の良いレースでしたので、優勝することが出来て本当に良かったです。」と、語った。ノースクイーンカップは昨年に続いて人馬共に2連覇達成。服部騎手は今年、岩手遠征でのオパールカップ(スタープロフィット号)、せきれい賞(マチカネカミカゼ号)に続いて重賞は3勝目。先日のJRAラベンダー賞ではステルミナート号とのコンビで2着に入っており、8月には函館2歳S(G3)挑戦も控えている。
ショウリダバンザイの生産は浦河町の山口義彦牧場。当日、門別競馬場にはご不在で代理の方が表彰に立った。後日、山口さんにお電話で感想を伺うと、「これまでクラキンコには負けていましたが、今回は挽回できましたね。体が絞れて状態も良化していたのでしょう。母オレンジスペシャルも元気で、今年は父ワイルドラッシュの牝馬が誕生しています。こちらも走りそうな雰囲気を感じていますよ。ショウリダバンザイには今後のレースでもやはり勝ち負けを期待したいですが、まずは無事に長く走ってくれることを願いたいです。」と、語ってくれた。
ショウリダバンザイの次走は「GRANDAME-JAPAN」対象レースがある岩手遠征が予定されている。ホッカイドウ競馬が育んだトップクラスの牝馬として、堂々たるレースを期待したい。