道営が誇る名牝へ、星雲賞はクラキンコが制す
6月2日、門別競馬場では中距離重賞の星雲賞(H2)[パイロ賞]が行われた。
今年のメンバーは4歳から9歳の11頭。来週に北海優駿(H1)を控えていることもあり、3歳馬の参戦はなかった。1番人気はホッカイドウ競馬の女王クラキンコ。今年初戦のコスモバルク記念(H2)を快勝し、今回は単勝1.7倍の支持を受けて迎え撃つ。2番人気は前走、クラキンコを肉薄したショウリダバンザイ、3番人気は昨年の華月賞馬を7馬身ちぎり、派手な転入初勝利をあげたリアライズトロイカが続いた。
レースはリアライズトロイカが序盤から積極的に飛ばし、チュニジアンブルーが2番手を追走、クラキンコは3番手からレースを進める。好位から中団にはカゼノコウテイ、マチカネカミカゼ、ショウリダバンザイらが控え、馬群は縦長に。
3、4コーナーの勝負所に差しかかるとリアライズトロイカのリードがなくなり、クラキンコが抜群の手応えで先頭に並びかけて直線へ。一旦はリアライズトロイカが二枚腰を発揮して再度突き放すも、クラキンコも後方勢の出方を伺いながら徐々にギアチェンジし、トップスピードに乗る。ゴール前は逃げ粘るリアライズトロイカ、クラキンコ、外から末脚を発揮してきたマチカネカミカゼによる争いとなったが、最後はクラキンコがグイッとひと伸びし、重賞連勝を飾った。2着はリアライズトロイカ、3着マチカネカミカゼ。ダート2,000mの勝ち時計2分10秒1は昨年より劣るが、この日は時計を要する馬場だったので悲観する必要はないだろう。
騎乗した小国騎手はクラキンコとのコンビで重賞4勝目を飾った。昨今、重賞勝利が目立っている一人で、通算2,000勝の大台も近づいている。表彰式の優勝騎手インタビューでは、「最後の直線では後続に気をつけて追いましたが、最後までしっかりと伸びてくれました。クラキンコも日々成長し、強くなっているので、どこの位置取りでも問題ないと思います。これからも頑張ってくれると思いますので、応援宜しくお願いします」と、語った。辛勝にも映るが、充実一途の人馬にはハッキリと勝利が見えていたようだ。圧倒的人気のプレッシャーを背負いながらも、馬への大きな信頼と自信に満ちた騎乗が栄冠をきっちりたぐり寄せた。
クラキンコの生産は日高町の倉見牧場。今回も現地で走りを見守っていた倉見さんは、「優勝できて嬉しいです。今日は辛抱を強いられるレースだったと思いますが、よく勝ってくれました。古馬になって、更に力をつけた感じですね。」と、愛馬の頼もしい走りに頭を垂れていた。現在、牧場にはクラキンコの全弟(1歳)がおり、順調に育っているという。倉見さんは、「1歳の仔は元気が良すぎるぐらいですよ(笑)」と、近況を教えてくれた。ホッカイドウ競馬の歴史に色濃く名前を刻む“クラ”血統馬。今後も優秀なサラブレッドを送り込んでいくことだろう。