エトワール賞はプリティゴールドが重賞初制覇
5月19日、門別競馬場では北海道スプリントカップ(Jpn3)に向けての前哨戦、第11回エトワール賞(H3)[サウスヴィグラス賞]が行われた。
今年は3歳の若馬から9歳のベテランまでバラエティに富んだ面々がエントリー。地元重賞の常連ミスティックダイヤ、アンペアをはじめ、目下4連勝と勢いに乗るスズカランクス、これまでオール連対中で、古馬との斤量差を味方に挑む3歳牝馬ラビットファレルなど、現役屈指の快速馬が揃った。初対戦の顔ぶれが多く、展開、力量比較の難しさが馬券検討を面白くさせた。単勝1番人気はスズカランクス、2番人気はアンペア、ともに3倍台のオッズをつけた。
レースはグレンチェックが逃げ、スズカランクスが2番手を追走、そのあとのグループにアンペアがつけ、ラビットファレルはインコースから、ミスティックダイヤは中団外目からレースを進めた。4コーナーをまわるとアンペアが脚色良く抜け出し、一旦は先頭に立つが、門別の直線長し。待ったをかける馬たちが1頭、2頭と迫っていく。直線半ば内を捌いてきたプリティゴールドが忍び寄ると、後ろで控えていたミスティックダイヤ、サクラサクラサクラも猛然と襲いかかり、アンペアに肉薄。最後は4頭の争いとなったが、ロスない競馬で巧みに立ち回ったプリティゴールドがグイッと突き抜け、激戦を制した。勝ち時計は1分13秒5。2着は堅実さが身上のミスティックダイヤ、3着には転入2戦目のサクラサクラサクラが変わり身を見せ、穴をあけた。
プリティゴールドに騎乗した桑村真明騎手は表彰式のインタビューで、「以前の交流戦の時とはレースぶりが違いましたね。道中は砂を被らないことを意識して騎乗しました。内々を通りましたが、壁にはならないと踏んでいました。最後はよく伸びてくれましたね。強い馬なので今後が楽しみです。昨年は僕自身重賞を勝てなかったので、嬉しいです。これからも応援宜しくお願いします。」と、笑顔を見せた。重賞8勝と大暴れした2009年とは対照的に、昨年は重賞未勝利に終わったが、地元期待の若武者は味な騎乗で久々の栄冠をたぐり寄せた。
プリティゴールドはオーストラリア産の5歳牝馬で、JRA在籍時に3勝。このレースがホッカイドウ競馬移籍初戦となったが、再出発を見事に飾る結果となった。デビュー前の育成と現役時の休養期間はむかわ町の育成牧場、グローバルが手がけていた。門別競馬場に応援に駆けつけていた同牧場の吉田マネージャーは、「優勝できて大変嬉しいです。以前は気性面でうるさいところがありましたが、その辺りがだいぶ改善されてきましたね。門別の砂も合っているのでしょう。次は交流重賞制覇を狙って欲しいです。」と、喜びを語っていた。
今回の勝利でプリティゴールドは門別コース3戦3勝。相性抜群のコースが主戦場となり、鬼に金棒の条件が揃った。南半球産の9月生まれだけに、進化の余地も十分あるだろう。無敗記録を伸ばし、門別ダート短距離界で躍進の狼煙を上げる。