馬産地ニュース

1年の終わりに~2010年馬産地十大ニュース

  • 2010年12月28日
  • オグリキャップのお別れ会には800人のファンが参列
    オグリキャップのお別れ会には800人のファンが参列
  • 多くのファンが訪れた門別競馬場
    多くのファンが訪れた門別競馬場
  • コスモバルクの引退式、右が生産者の加野さん
    コスモバルクの引退式、右が生産者の加野さん
  • ナカヤマフェスタの母馬ディアウィンク
    ナカヤマフェスタの母馬ディアウィンク
  • 産駒が大活躍中のディープインパクト
    産駒が大活躍中のディープインパクト
  • 好調の繁殖牝馬セール
    好調の繁殖牝馬セール
  • 閉鎖された門別種馬場
    閉鎖された門別種馬場

 世界的な天候の異変に馬産地日高も影響を受けた一年でした。
 大きな災害こそありませんでしたが、競走馬の生産・育成に関わる方たちは猛暑や長引く雨に日々の苦労を強いられながら競走馬を育て上げてきました。しかし、不況の影響も受けて、せり市場では安価での取引が多く生産者の苦難は続いています。状況が一変するとは思われませんが、5年先、10年先には生産界の経済の安定に目途が立つことを期待して新年を迎えたいと思います。

 皆様にとりましても新年が良い年であります様お祈りいたします。

                  競走馬のふるさと日高案内所 一同

 今年もライターや関係者の方にお集まり頂き、馬産地日高を中心とした2010年の十大ニュースをまとめました。

2010年馬産地十大ニュース

第一位 “芦毛の怪物”オグリキャップ死亡 

 7月3日、優駿スタリオンSで余生を過ごしていたオグリキャップ(三石 稲葉牧場生産馬)の急死に全国からファンや報道機関、関係団体などからの問い合わせが相次ぎ、設置された献花台には連日多くの花が捧げられる。地元でもこの反響の大きさに“特別な馬”であることを再認識。
 死亡した名馬は他に サクラユタカオー スーパークリーク テイエムサンデー バブルガムフェロー ヤマカツスズラン ユーワファルコン ナルシスノワール スズマッハ 等

第二位 ホッカイドウ競馬の存続が決定

 生産界を揺るがす影響を持つホッカイドウ競馬の存廃問題が10月の道議会で決着。単年度収支均衡を条件に、地元に運営母体を移して開催されていたホッカイドウ競馬だが、5年以上の継続が決まり競馬場関係者の努力と馬産地の強力な応援の成果が実る。

第三位 ウオッカ コスモバルクが現役を引退

 中央競馬での活躍に多くの日高の生産者を勇気づけてくれたウオッカ(静内 カントリー牧場生産馬 国外繋養中)、外厩認定馬1号として新たに競走馬の活躍の場を広め、多くのファンに愛されたコスモバルク(三石 加野牧場生産馬 ビッグレッドファーム繋養中)が引退。

第四位 ナカヤマフェスタ号が凱旋門賞で2着と大健闘

 むかわ町の新井牧場生産馬のナカヤマフェスタ号が世界の大舞台で快挙。同町出身の鈴木章北大名誉教授がノーベル化学賞を受賞し“むかわ町”の名を世界にアピール。

第五位 ディープインパクトの初年度産駒が活躍

 今年初デビューとなったディープインパクトの産駒たちが大活躍しJRA2歳新種牡馬最多勝の記録を更新。父サンデーサイレンスの記録30勝を超えた。またリーディングサイヤーにキングカメハメハ、G1重賞戦線ではブエナビスタ、アパパネ、ヴィクトワールピサなど社台グループ生産馬の独占状態が拡大。日高の生産者からはタメ息が。

第六位 北海道市場オータムセールで中国人バイヤーが初購買。

 実業家で大規模な競馬場も計画中の中国人バイヤーが上場馬18頭を4,735万5,000円で購買、このセールのトップバイヤーになる。まだ馬券は発売できない中国だが、今後の動向に生産者や関係者の関心が一気に高まった。 

第七位 せり市場は1歳、2歳馬市場へ販売状況のシフト移行が進む。

 北海道市場オータムセールでは当歳馬の取引が中止。生産者には1年分の飼養費の負担が増すことに。また、繁殖牝馬セール(ジェイエス主催)は好調で生産牧場の繁殖牝馬更新の意識が高まっている。同セールでの社台グループとダーレー・ジャパンの良血牝系の上場も注目される。

第八位 宮崎の口蹄疫感染に日高地域の軽種馬関係者も対策に追われる

 馬には感染しないが、軽種馬の牧場や関連施設では入り口に消毒剤を撒いて北海道への感染阻止に努めた。日頃、馬の感染症予防に神経を使う軽種馬関係者の対応は早かった。これに伴い恒例の浦河シンザンフェスティバルなど各町のイベントも中止となった。

第九位 日高軽種馬農協門別種馬場が閉鎖される

 日高の生産者から“お助けボーイ”と呼ばれた名種牡馬テスコボーイなど擁し生産界の基盤となっていた日高軽種馬農協の種馬事業だったが、民間の種馬場の充実に伴い48年間の歴史を閉じた。

第十位 グランプリ馬マツリダゴッホなどが種牡馬デビュー

 新種牡馬は アジュディミツオー ヴィクトリー カンパニー ディープスカイ ハイアーゲーム エイシンデピュティ スクリーンヒーロー スリーロールスなど。海外からは ヨハネスブルク コンデュイット など

特別賞 ホッカイドウ競馬でクラキンコが牝馬初の3歳3冠馬

 生産者の倉見牧場は家族経営の小規模牧場。自家生産馬を自ら馬主と成ってホッカイドウ競馬を舞台に活躍馬を送り出してきた。本馬の父クラキングオー、母クラシャトルも北海優駿などの重賞勝ち馬。父の父スズカコバン、母の父ワカオライデンと派手でない血統背景だが本馬の3冠達成に多くのホッカイドウ競馬ファンが沸いた。生産者の競走馬づくりへのロマンに感動した快挙だった。

十大ニュース検討会参加者(アイウエオ順)

落合雄一郎(パカパカ工房主宰)篠原美穂子(競馬ジャーナリスト)舘山国敏(道新静内支局記者)中地広大(うまレターライター)浜近英史(うまレター主宰)古谷剛彦(JRDB)三方勝義(フィールドフォトグラファー)村本浩平(競馬ジャーナリスト)吉村信治(競馬ジャーナリスト)
※そのほかに生産牧場や関係者の方にも参考意見を頂きました。