強い馬づくり講座が行われる
12月16、17日、日高町の門別総合町民センターと浦河町の堺町基幹集落センターにおいて、JRA日高育成牧場主催の「強い馬づくりのための生産育成技術講座2010」が開催された。
同講座はJRA同牧場が競走馬の資質向上や生産育成関係者への情報・技術普及を目的として行っているもの。両会場とも多くの軽種馬関係者が集まった。
16日の講演会で、JRA同牧場の平賀敦副場長は「今日の講座が皆さんの現場で役に立つ情報交換の場になれば」と挨拶。オブザーバーとして出席した平取町軽種馬生産振興会青年部の赤石部長は「悪天候の中、たくさんの方に来ていただき嬉しく思う。寒さを吹き飛ばすような熱い講演会にしたいです」と抱負を述べた。
講演内容は平賀副場長が「育成馬の効果的なトレーニング法とは?-反復トレーニングの重要性-」、同牧場の頃末憲治業務課専門役が「JRAの初期育成における試みについて」、同牧場生産育成研究室の村瀬晴崇氏が「空胎馬を乳母にする!-ホルモン治療による画期的な泌乳の促進-」の3つ。
平賀副場長はエネルギーを作る仕組みを説明。スピードに比例してエネルギー必要量が増えるとした。さらに反復トレーニングのスピードと時間、間隔など、それぞれの研究結果をもとに運動中の酸素摂取量、二酸化炭素排泄量、血中乳酸濃度の変化を発表。最後に「馬が運動する際にはしっかりとしたエネルギー供給が必要。中心になるのは心肺機能を鍛えることで、さらに乳酸が出るくらい付加をかけることが大事。有効にするには反復トレーニングが必要となってくる」とまとめた。
頃末専門約は分娩について、1時間までに新生子は起立し、2時間までに新生子は哺乳する、3時間までに後産は排出すると説明。肺炎や肢軸異常といった当歳時に見られる疾病についても言及した。また、冬場の管理についてもアドバイス。「寒冷時には耐寒のため維持エネルギー要求量が増える。増加分は乾草で補うこと」を推奨した。
最後に村瀬氏は同牧場で実践した空胎馬を乳母にした事例を紹介。泌乳量、導入面で課題はあるが、「経済的効果・子馬の精神面の効果を考えると非常に有効な選択肢の一つでは」と持論を展開した。