BTC草地管理研修会が行われる。
12月9日の昼と夜の2回、新ひだか町の静内ウエリントンホテルでBTC軽種馬育成調教センター主催の「草地管理研修会~日高地区における草地の話題~」が開かれた。
この研修会は一昨年から開催しているもの。BTCが1993年から実施している軽種馬用草地土壌調査事業の分析成果を広く普及するために行っている。研修会にあたり伊藤克己BTC理事長は「生産振興は競馬発展の基礎になります。厳しい時代ですが今日の研修会が現場での活用、経営の参考になることを願っております」と挨拶した。
研修会ではBTCの原恵作氏が軽種馬用草地土壌調査事業の内容を説明。土壌分析の意義、調査結果、利用者の声などを紹介し、土壌分析の利用を薦めた。
続いて日高農業改良普及センターの田渕修氏が「雑草駆除への取り組み メドウフォックステール対策について」を演題に講演した。メドウフォックステールは日高地区では俗に「黒穂」と呼ばれる雑草。見た目はチモシーに似ているが葉の割合が少なく栄養価、消化率が低く、利用価値が少ないとさる。ここ数年で広域的な広がりを見せており、軽種馬生産牧場の放牧地に悪影響を及ぼしている。
田渕氏は防除対策として生態的防除、生物的防除、機械的防除、科学的防除が有効とし、それぞれの対策を施した結果を報告。メドウフォックステールは土中に落ちた種子をいかに駆除できるかがポイント、土中の種子は秋発芽させ翌春に除草処理することで駆除できる可能性が高い、土中の種子を発芽させるための条件は、不耕起の場合は9月中旬までに除草剤散布終了すること、表層攪拌の場合は除草剤散布後に表層攪拌して最後に鎮圧することを9月中旬までに実施することとアドバイスした。
最後に酪農学園大学環境システム学科の伊吾田宏正氏が「エゾシカによる牧草被害の対策を考える」を演題に講演。日高地区で問題となっているエゾシカの生態、保護管理、欧米等先進国の事例を紹介し、今後の自衛策に生かすための話題を提供した。
伊吾田氏はエゾシカについて、明治時代の乱獲政策で一度は絶滅寸前になったが、現在は増加する一方と説明。日高管内の牧場で行っているエゾシカ対策の事例を紹介した。また、捕獲の課題についてはハンターと連携し、銃器などを使用する場合は馬の安全対策の徹底、残滓処理の適正を図るとした。今後の対策としてはネットや電気柵などによる被害防除、銃器やワナなどによる個体数調整、個体数調査や移動パターンなどの調査研究、シカ肉料理など地域で連携した資源活用、シカ対策の専門員を設置すべきと訴えた。