海外流通促進への取組み概況報告が行われる
12月6日午後、新ひだか町の静内ウエリントンホテルで、JRA日本中央競馬会、JBBA日本軽種馬協会、TTDA競走馬育成協会などが一体となって取り組んでいる、海外流通促進についての報告が行われた。
報告はHBA日高軽種馬農協が開催した「平成22年度振興会役員並びにHBA役員合同会議」の議案として取り上げられた。
JRA、JBBA、TTDAらは今年、日本産馬の買い販路拡大を目指す「海外流通促進委員会」、「国際水準のセリ市場のあり方検討会」、「海外流通連絡協議会」を発足。海外流通促進の諸施策を検証することで、達成した成果や残された課題を整理し、今後取り組むべき方向性を打ち出した。
検討を重ねた結果、今後はシンガポール、中国、東南アジアをターゲットにすることを説明。シンガポールは大井競馬程度の賞金水準があることから年間100頭規模の輸出を目指す。また、中国は政府公認競馬は行われていないが、潜在的には世界最大規模のマーケットとなる可能性があることから、将来の競馬再開を見据え、公的機関と民間の役割分担を明確化し、オールジャパン体制で整備していく。さらに韓国へは引き続き牡馬2万ドル、牝馬7万ドルの購買上限価格の増額を働きかける。
中国は今年3月に51頭、10月に30頭の合計81頭の日本産馬を輸出。オータムセールでも18頭を総額4736万円で購買し、日本産馬へ対する購買意欲が高まっている。生産者からは商慣習の違いや尖閣諸島沖の漁船衝突事件による日中関係悪化を危惧する声が出たが「購買者となる富裕層の調査を徹底して行っている。彼らは自前で競馬場を持つほどの事業家。また、ビジネスマンとしての地位もしっかりしている。リスクが伴わないビジネスはないが、慎重に取り組んでいきたい」と理解を求めた。
国内マーケットが縮小する中、海外へ販路を求める取組みは急務。国内のセリ市場に海外バイヤーが気軽の参加できる体制づくりも急がれている。