バルバロを治療していたリチャードソン教授の講演会が開催される
12月2日夜、新ひだか町の静内ウエリントンホテルで日高獣医師会(駒澤弘義会長)が主催する平成22年度道南ブロック大動物講習会「馬の骨折治療についての講演会」が開催された。
講演会には日本ウマ科学会、馬臨床獣医師ワーキンググループ、JBBA日本軽種馬協会が共催し、胆振獣医師会も協賛。講師に米ペンシルバニア大学獣医外科学教授でニューボルトンセンター(大動物治療・研究センター)馬外科主任であるディーン・リチャードソン獣医を招き「今、馬の骨折はどこまで治せるか?」を演題に講演が行われた。
当日は獣医師、軽種馬関係者など約200名が出席。主催者を代表して駒澤会長は「馬の骨折がどこまで治せるのか、どこまで治るのか、今日の講演が牧場の方、獣医師にとって大変有意義なものになることを期待します」と挨拶した。
講師のリチャードソン教授は馬の整形外科の世界的権威。2006年の米ケンタッキーダービー馬で、プリークネスS(G1)のレース中に骨折したバルバロを手術・治療したことでも世界中に知られている。
リチャードソン教授は、“ひどい骨折をした馬を助けることができるのか?”という問いに、「可能だが、成否には年齢、体重、どの骨か、骨のどこか、皮膚の損傷があるかなど様々な要因を考慮する必要がある」とし「成功率は小さい馬のほうが高く、応急処置と早期の判断が非常に重要」と話した。そして、獣医師として大事なことは、「馬が心地よいと思う状態にしてあげること」と説いた。
豊富な経験を持つリチャードソン教授はスライドを使い、骨折の症例を説明。手術の様子や、プレートとスクリューをロックさせることにより、より強固な固定を実現させた最新の骨接合材料であるプレート、ロッキングコンプレッションプレートを用いた症例を解説した。
講演後は第一人者のアドバイスを請おうと質問が続出。予定時間をオーバーするほど会場は熱気で溢れていた。出席した獣医師は「日本ではロッキングコンプレッションプレートは小動物でよく使われているが、馬ではあまり見ないものです。とても勉強になりました」と満足そうな表情で会場を後にしていた。