胆振地区生産育成技術講座が行われる
11月22日夜、苫小牧市の苫小牧グランドホテルニュー王子で、IBBA胆振軽種馬農業組合とIBBA青年部が共催する「胆振地区 生産育成技術講座2010」講演会が開催された。
講演会のテーマは「仔馬の飼養管理について~分娩予知と離乳までの管理について~」と「競走馬の育成について~馬の自然な走行フォームについて~」の二つ。講演会に先立ち、ノーザンファーム空港牧場場長で、IBBA青年部部長でもある吉田俊介氏は「出席者名簿を見ますと胆振地区だけでなく日高地区からも多くの方が出席していただきありがたく思います。今日の講演の中から多くのことを牧場に持ち帰り、日ごろの仕事に生かしてより強い馬を生産育成し、ますます国際化する競馬マーケットに一緒に立ち向かっていきましょう」と挨拶した。
講演会の講師はJRA日高育成牧場生産育成研究室専門役の頃末憲治氏。頃末氏は帯広畜産大学卒業後の1995年にJRAに入会。栗東トレーニングセンター、函館競馬場、美浦トレーニングセンターなどを経て、05年から現在の日高育成牧場に勤務している。その後、07年2月から愛国で2年間研修。昨年2月に帰国し現在に至っている。
頃末氏は愛国で学んだ分娩管理システムについて言及。pH値とBrix値から分娩時期を予測する方法をデータ使い説明した。さらに、育児放棄は初産時に認められることが多いとし、「育児放棄が起きた場合は母乳に代わるものを給与、母馬の攻撃が激しい場合は母仔を分ける」とアドバイスした。離乳に関しては「ストレスの回避」が重要と述べ、仔馬扱いについては「馬を引くのではなくリード(導く)するように」と訴えた。
また、競走馬の育成調教には「馬がニュートラルな状態で走行できるようにすることが大事」とし、「騎乗者の重心の移動の様子をスライドで解説した。頃末氏はここでもリード(導く)という言葉を何度も発言。「馬を支配するのではなく導く(リード)する気持ちが重要」と伝えた。
会場は200席用意した椅子が足りなくなるほどの盛況ぶり。愛国で学んだ頃末氏の話を最後まで熱心に聴講していた。