馬産地ニュース

道営記念はオネストジョンが差し切り勝ち

  • 2010年11月19日
  • 見事な差し切り勝ちを決めた
    見事な差し切り勝ちを決めた
  • パドックでのオネストジョン
    パドックでのオネストジョン
  • ウイニングラン
    ウイニングラン
  • 喜びの口取り
    喜びの口取り
  • 優勝馬関係者の皆さん
    優勝馬関係者の皆さん

 11月18日、門別競馬場ではクライマックスを飾る大一番・道営記念(H1)[シンボリクリスエス賞]が行われた。

 今年はホッカイドウ競馬3歳3冠ヒロインのクラキンコを筆頭に、昨年の覇者コパノカチドキ、中長距離路線で重賞タイトルを手にしたカゼノコウテイ、マキノスパーク、ラプレら古豪や、夏のJRAシリーズでも奮戦した3歳牝馬パシコジュリエなど、今年のホッカイドウ競馬をにぎわせた豪華なメンバーが揃った。

 レースはアドミラビリス、ミスティックダイヤが引っ張る展開で、人気のクラキンコは中団内からレースを進める。馬群はかなり縦長になったが、4コーナーに近づくにつれてペースが上がり密集していく。最後の直線に向くと、各馬は内外いっぱいに広がって混戦を呈した。ロスなく立ち回ったクラキンコが伸び、一旦は先頭に立ったが、直線半ばコパノカチドキ、オネストジョンが襲いかかる。最後はオネストジョンの脚色が勝り、コパノカチドキを差し切って先頭ゴールインを切った。鞍上の小国騎手は高々と左手でガッツポーズをとり、538kgの雄大な馬体がダイナミックに駆け抜けていった。地力を見せたコパノカチドキが2着、末脚を生かしたパシコジュリエが3着に入り、クラキンコは5着に敗れたが3歳牝馬ながら勝ち馬から0.3秒差なら胸を張れる結果だろう。

 騎乗した小国博行騎手は表彰式のインタビューで、「馬の力を信じて、自信を持って乗りました。少しペースが早かったので、道中はずっと我慢をしました。直線で反応が遅くて気になりましたが、最後に馬体を併せた時には勝ったと思いました。最後に大きいレースを勝てて嬉しいです。」と、晴れやかな表情で答えた。管理する堂山芳則調教師はこの勝利で年間最多勝をマークし、リーディングトレーナーの称号も手にした。

 オネストジョンは日高町の藤本直弘さんのオーナーブリーディングホース。レース後にお話を伺うと、「夢みたいな気分です。地に足がついていないですよ。最後は“交わしてくれ”と祈るような思いでした。牧場時代からも光るものは感じており、自信を持って送り出しました。優勝できて本当に嬉しいです。」と、感動しきりの様子で話してくれた。

 オネストジョンの父エイシンダンカークは僅か5頭の産駒数であるが、その中からホッカイドウ競馬の最高峰を制す馬が現れたのだから、競馬は面白い。母ハウンドトゥースはJRAで3勝を挙げた活躍馬で、2歳には父スパイキュールの牡馬がいる。こちらは「ホワイトタイガー」という馬名で同じ堂山厩舎からデビューを待つ。

 開催最終日のこの日は開門から多くの人出でにぎわい、JBC駐車場はあっという間に満車。ファン感謝イベントとして石狩鍋のサービスや騎手交流会が開かれ、場内は11月の寒さを吹き飛ばすほどの熱気にあふれていた。

 今年度のホッカイドウ競馬発売額は112億9224万円と、前年比94.4%だった。存続へ向けて岐路に立たされていた平成22年度開催であったが、めでたく存続も決定し、馬産地でも安堵の雰囲気が漂っている。来年度以降のホッカイドウ競馬もより一層の発展を期したい。